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2.10.26

更新報告

  2026年10月 更新報告



人工内耳の成人適応基準が、日本耳科学会よりアップされています。

以前と比べて、どのような点が変更になっているか、確認してみてください。



①新規:『マーキン賞の受賞』項、新規掲載しました。


②新規:『著者知らず、時期知らずの記事』項、新規掲載しました。


③新規:『人工内耳の感覚(5)』項、新規掲載しました。


④新規:『人工内耳の成人適応基準(2026年) その6』項、新規掲載しました。


⑤新規:『人工内耳(EAS:ハイブリッド)の成人適用基準 その7』項、新規掲載しました。








 

マーキン賞の受賞

  マーキン賞の受賞



掲載が少し遅れることになりますが。。。

今年2026年6月15日に、人工内耳を研究・開発し、道を作ってきた先駆的な研究者や技術者にMerkin賞(医生理技術における功績をたたえる賞)が送られています。


人工内耳は、今では100万人以上の人々に聴覚をもたらし、音声によるコミュニケーションを行えるようにした画期的な機器。

大きな波として世界中で使われるようになった人工内耳の、その波を起こし軌道に乗せてきた方々を称賛しての、授賞です。


重度になるともう手段はない、と放置(まあ、手段がなかったわけですから)されるしかなかったものが、聞こえが入るようになる。。。これは本当に考えられなかった驚きです。

友人との会話でも、皆で集まる会合でも臆することなく(う~ん、心底ではひやひや臆していますが)、顔を出せるようになるのですから。


人工内耳に貢献した受賞者の一人、Blake Wilson氏(他の受賞者達は年齢順に、Clark氏、Merzenich氏、Hochmairご夫妻)が、以前の講演(2014年12月掲載『ラスカー賞受賞者の講演ビデオレビュー』項を参照)で話していましたが、各メーカーの先駆者達は朋友、一緒に人工内耳開発を推し進めてきた、とのこと。

過去半世紀以上も前からこうしたことに取り組み始め、その大きな課題や困難にも負けず、今の恩恵をもたらしてくれた先駆者達には感謝しかありません。


半世紀以上前の時代とは、どんな時代だったのでしょうか。

ネットで調べてみると、1960年代は。。。

ドイツのベルリンの壁が(壊されたのではなく!)作られた時代。

ベトナム戦争が始まり、アメリカも介入参戦した時代。

そして宇宙では、アポロ11号が初めて月面着陸した時代。

日本では、新幹線が初開業し、アジア初の東京オリンピックが開催された時代。


1970年代は。。。

アメリカでは、ニクソンショックが起こった(その余波で1ドル360円の固定レートが崩れた)時代。

中東戦争を機に、世界中がオイルショックにガンガン振り回された時代。

中国では、文化大革命が終わり、改革開放政策が始まった時代。

日本では、宮城県沖地震に代表されるような地震、多数の被災者を出した豪雨、豪雪、台風が続いた天災の多かった時代。

大阪万博が開かれ、街中を走っていた路面電車が地下鉄に変わりつつあった時代。


こんな時代に、耳の治療に人工内耳手術を!と叫ぶのは、どこにおいても異端視されるものではなかったでしょうか。

実際、早くにスタンフォード大学で人工内耳を手掛けていたSimmons Blair氏は、トップレベルのエンジニア達の興味を引くことができず。。。とあきらめたいきさつを記しています。

1973年にサンフランシスコの人工内耳研究者達が引率して「重度感音難聴治療としての聴神経電気刺激に関わる第一回国際会議」を開催(2014年8月掲載『人工内耳の選定』項)していますが、その時にも多くの反対デモにあっていたとか。。。

各地にいる開発者達が当時の連絡方法で連絡を取り合って結束し、情報を共有して助け合い、皆で推進していかなければ、起こした波をうねらせることは難しかったのではないでしょうか。


その以前に、William House氏が単電極人工内耳を世界に流通させ(これは絶対に勇気がいる!)、それが世間の考え方を動かし始めていたということは、大きなステップになったと思います。

それぞれのメーカーの開発者チームに優れた医生理学研究者が集まったことも、コード化法を公有財産としてくれたWilson氏のような方がいたことも、心臓ペースメーカー及びその技術者達のバックアップがあったことも、国が支援レベルの技術と認証してくれたことなども。。。この波を大きなうねりとするのに追い風となったと思います。

この波が、今では多くの人の耳となって生活を助けてくれています。


受賞された開発者達、その開発チームで活躍してくれた研究者達、土台となってきた多くの研究者・実践者達に、あらためて深く感謝します。

そして、人工内耳がまだ未知のものであった時代に手術にのぞんで、難聴者が続いていける道を開いてくれた初期の装用者やボランティア、乳児だった方達にも。。。


(古いPCのファイルにおさめていた日本語のドキュメントを幾つか見つけて読んでいましたら、日本の各地でも人工内耳黎明期には研究や開発に挑んだ研究者達がいたのだろうと思えました。

Blair氏のように、支援者や技術者の興味を引くことができなかったのかも。。。運や人脈、倫理観や時代背景などにもよる、ということなのでしょうか。)







著者知らず、時期知らずの記事

 著者知らず、時期知らずの記事



前のPCの保存ファイルから見つけた日本の文書を2つばかり(どちらも長いので一部分だけを抜粋)転載します。

一つは著者名が、もう一つは記載時が分からないのですが、どちらもずいぶん前にネットに公開されていたと思います。


最初のものは、おそらく京都大学サイトからで、時期は2000年代?

小児の人工内耳装用について述べている部分をここに転載します。


その次のものは、大島渉氏とあり、時期はおそらく40~45年くらい前?

世界が人工内耳黎明期で競っていた頃の研究でしょうか。




<著者知らず編>


2)自験例の紹介

 以下に我々が人工内耳手術を行った小児16名(手術時平均年齢:2歳~12歳、平均5.6歳)の結果を紹介します。

(現在では20名を超えています。以下のデータは暫定的なもので、今後、逐次更新する予定です。)

先天性の高度難聴が8名、後天性難聴が8名で、術前は、髄膜炎で両側聾となった一人をのぞいた全例で一定期間(10カ月~8年)補聴器の装用が行われていますが、これによっても全く、あるいは殆どコトバの発達が見られていないために手術となって います。


 これらの小児のうち、補聴器で音感がえられていた子どもの平均補聴器装用閾値は500Hzが67dB、1kHzが67dB、2kHzが75dB、 4kHzが87dBでした。

一方、術後は全ての例で音感が得られ、人工内耳の装用閾値は500Hzが平均44dB、1kHzが42dB、2kHzが 41dB、4kHzが44dBであり、残存聴力があった例の平均に比べても人工内耳によって25dB程度の改善がえられています。

とくに、高度難聴児の補聴器装用では4kHz以上の高音域で殆ど入力が得られない場合が多いのですが、人工内耳では全音域で均等な閾値がえられます。

術後の聴覚言語機能の評価には患児の発達に応じて、通常の語音弁別検査か行動観察に基づくIT-MAISを使用しました。 

ここでは、7歳以上の例では母音と単音節子音の弁別検査、それ以下の年齢ではIT-MAISの結果を示します。

術前に語音聴力検査が可能であった症例の術後の語音弁別成績は術後1年で言語習得後失聴児の母音が平均93%、子音が平均65%、一 方、言語習得前失聴児では母音が平均76%、子音が平均11%と、やはり言語習得後失聴児の成績が良好でした。

IT-MAISのスコアは、術前は平均 10%と低値でしたが、言語習得中失聴児の1例では術後、急速にスコアが上昇し、6カ月で100%となりました。

言語習得中失聴児の他の1名と言語習得前失聴児ではスコアの上昇は緩やかですが、術後3カ月ころから徐々に明らかな聴性行動の向上がみられ、以後6カ月で37%、1年で83%、2年で100%と、着実な上昇が確認されています。


 これらの結果を総括すると、人工内耳手術を行った小児例全てにおいて、術後に聴覚言語の発達が見られ、その効果は言語習得後あるいは言語習得中の失聴児では急速に、言語習得前失聴児では徐々に、しかし確実に現れるという事になります。

また、術前の観察期間には見られなかった聴覚言語の発達が、人工内耳の術後3ヶ月以降で確実に観察されたことは、現在の手術適応の基準が、これらの子どもで適切であった事を支持するもの考えます。

症例によっては人工内耳の効果が明確になるのに数カ月を要し、これは聴覚言語の発達が年余にわたる事からすれば当然のことですが、翻ってみると術前の補聴器装用の効果判定期間も少なくとも半年くらいは取ったほうが良さそうです。


3)話し言葉の発達

 コトバの聞き取りと発声、構音には密接な関係があります。

米国のマレーらは人工内耳装用の小児34名の表出言語について長期の観察を行った結果、まず最も構音運動が観察しやすい両唇音から正確に習得され、一方、構音点の観察が困難な硬口蓋音、軟口蓋音、声門音などの構音が最も不正確である事を報告していますが、これは補聴器装用の難聴児と同様の結果です。

また構音方法についても着実な進歩が見られ、特に摩擦音 /s/ , /z/, /f/ の正確さが、術後6年で60%に達していますが、これは人工内耳では高音域の語音情報がより確実に入力できるためと推測されます。

母音についても同じく良好な発達が確認されています。

さらに、この観察期間の最終年(6年)においても、これらの指標は飽和しておらず、人工内耳装用小児では、より長期間にわたって構音の発達が続くものと推測されます。



<時期知らず編>


聴神経興奮時期に関する実験的研究

                               京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室(主任:水越治教授)

                                                  大島 渉


本実験の目的は、蝸牛マイクロフォン電位(CM)に対する聴神経の興奮位相を調べることにある。

低周波数(50Hz)音響と電気バイアス刺激を継続的に付与する条件下での、高周波数テスト音に対する全神経活動電位(N1)の振幅を、テスト音のみの場合のN1振幅と比較した。

また、音響刺激50Hzの三角波および正弦波に対する単一聴神経線維からの活動電位(AP)の発生数も記録した。


以下の結果が明らかになった。

1) AP放電のメカニズムにおいて、CMが極めて重要な役割を果たしていることは間違いない。音響刺激と電気刺激とでは、興奮の位相が約180度異なる。これは機械-電気変換説と整合するものであった。

2) すべての単一聴神経線維で、基底膜運動の速度成分および変位成分に対する応答が認められた。

3) N1の実験での興奮位相は、音響刺激下ではCMが正から負へ転じるゼロクロス点であり、電気刺激下ではCMが負から正へ転じるゼロクロス点であった。

4) 単一聴神経線維の特性周波数(CF)によって、興奮位相が体系的かつ段階的に変化した。低いCFの線維の一部はCMの正ピーク付近で興奮が見られ、高いCFの線維の一部はCMの負ピークおよび有毛細胞を流れる電流の最大ピーク付近で興奮が見られた。

5) 2)、3)、4)での結果は、機械-電気変換説のみでは説明できなかった。したがって、内有毛細胞と外有毛細胞との間の電気的相互作用について考察する必要があると思われる。



STUDIES ON THE EXCITING PHASES OF THE ACOUSTIC NERVE

                                                                                  WATARU OSHIMA, M.D.

                                                   Department of Otolaryngology, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto


The purpose of these experiments was to study the exciting phases of the auditory nerve against cochlear microphonics.

Whole nerve action potential (N1) amplitudes to the high frequency test tones under continuous low frequency (50Hz) acoustic and electric bias stimulation were compared to N1 amplitude to the test tone only.

The numbers of action potential(AP) from the single auditory nerve fibers were recorded to 50Hz triangle and sine wave acoustic stimulation.


Following results were obtained.

1) There was no doubt that CM played very important role about the mechanism of AP discharge. The exciting phases were different almost 180 degrees under between acoustic and electric stimulation. It was agree with the mechano-electrical theory.

2) The responses were noticed to the velocity and displacement components of the basilar membrane movement in the all of single auditory nerve fibers.

3) The exciting phase was the zero-crossing point from positive to negative of CM under acoustic stimulation and zero-crossing point from negative to positive of CM under electric stimulation in the N1 experiments.

4) The exciting phases moved systematically and gradually depending on the characteristic frequencies (CF) of single auditory nerve fibers. Some of the low CF fibers showed exciting phases near the positive peaks of CM and some of the high CF fibers showed exciting phases near the negative peaks of CM and maximum current peaks through the hair cells.

5) The results in 2), 3) and 4) were not able to explained by means of only the mechano-electrical theory. Therefore, there was a possibility to think about the electrical interaction between the inner and outer hair cells.


人工内耳の感覚 (5)

  人工内耳の感覚 (5)



『人工内耳の感覚 』。。。久々に使う、このタイトル。

10年以上前と、現在の聞こえはどのくらい違う?

似たようなシチュエーションでの体験をしたもので、記録しておこうと思います。


先日、久々に多人数参加のお祝いパーティーがありました。

会場はレストランの一部が貸切りになっていて、長くつなぎ合わせたテーブル3列が全て満席で、おそらく数十人はいるような状態。

テーブルに着く全員がそれぞれ周囲と言葉を交し合い、談笑し合い、その音声パワーが重なり合って、ざわめきの波のような雑音で聞こえてきます。

既ににぎわっている中に、遅れての到着だったので、長いテーブルの末席の方に座り、周りの方の会話を食事をしながら聞くこととなりました。


私の機種は、近年の機種ではなく、その一つ前のもの。

雑音低減機能(クリアボイス設定には小・中・高の3段階があります)は入っているのですが、雑音環境が私の低減設定を十分超えているもので、雑音のさざ波が打ち寄せるように入ってきます。

指向性機能が働いている、と感じたのは、雑音の中でも人工内耳のマイクが向いた方向に顔を向けると、その方向にいる離れた人の声でも少し浮いたような声で入ってくることでしょうか。

だからといって、その人が交わしている会話がはっきりと聞こえているというわけではなく、浮ついた音質の声。。。という感じで聞こえていますが。


近隣の席につく方々は比較的はっきりめに話してくれていた為、とりあえず音声としては入ってきます。

隣席の方々の会話が分かり易いかと聞かれたら、この距離でこの声量でなら英語母語者ならまあまあ分かるかも、と私には思えました。

パーティーを楽しめた要因は、分かり易く話そうとして下さった方々やスマホで話の要点を手打ちしてくれたりする人がいたことでしょうか。

手間をかけていると思うのですが。。。感謝です。


そうのこうのとしているうちに、食事時間がすみ、テーブルの前の方でパーティー主役の方へのお祝いスピーチが始まりました。

テーブルに着く皆が会話を止めて、前方に注意を向けている為、延々と続いていた雑音の波がかなりおさまってきました。

マイクで増幅したスピーチが前方で行われ、その後はテーブルのあちらこちらで手上げ式スピーチになっていき、その都度、スピーチ用のマイクがバトンタッチされていきます。

中には、ギターの引き語りで、メッセージを流す方も。


その間、私は何をしていたかというと。。。人工内耳の外部機につくボタンをいじっていました。

ボタン調整しないと聞こえないから、というわけではなく、ボタン調整でどのような聞こえが変わっていくか確認しようと。

普段はわりあい静かな環境で過ごしていますから、このような環境になることはあまりありません。

聞こえにくい環境である(距離もあり、マイク音声ですから聞き分けにくいです)のなら、どうしたら快適になるか確かめてみようと、それでいじっていました。


まずは外部機の調整ボタンを下に押して、音が小さくなる方向にどんどん下げていきます。

雑音の波がスロープを降りるように減っていき、静かさが増え、快適な気分になっていくこと、この上ない。

しかし、周りの音だけではなく、隣の人の声も自分の声も聞こえなくなっていくので、下げるたびに一種の寂寥感も沸きます。


音がかすかに鳴っているだけの段階を過ぎると、ついに音が聞こえていないのかな?というレベルにまでなっていきます。

なんか音のようでそうではないような曖昧な感じ。 

(両耳聾でも片耳は裸耳として残っている為、雑音の振動を感じている可能性もあり得るのですが。)


そこから、今度は少しずつ、ボタンを上に押していきます。

一つ上げると、最初に低い音が入り、それから鈍~く低~いギターの音も入ってきます。

更に上げると、マイクをもった男性の低~い声が入ってきます。

また上げると、ギターの音が豊かになり、アレッ、さっきの男性の声はもう少し張りがあったのか、という感想になってきます。

また上げると、この声が男性の方の本来の声に近いのかも、という聞こえになり、女性の声も結構通るようになってきますが、拍手が起きるとどんな声も全滅。

また上げると、音楽が豊かな音色になってきて、女性の声も普通っぽくなってきます。


耳にかけたままボタンを見ないで押しているのですが、これが普段の調整ボタンの固定位置かな、となんとなく感じています。

人々が話し出すと、又、雑音の波が入ってきますが、一旦最少位置まで下げて徐々に上げてみたせいなのか、雑音の正体を頭が少し理解したのでしょうか、当初よりも雑音感は減っています。

会場の音に慣れたせいかも? それとも単純にスピーチ後の雑音は当初より総量が低くなっているだけかも? と思い巡らしたり。

(感覚をこのようにいじると、周りの変化や音量が分かりにくくなりますね。)


また上げると、女性の音声がかぶさると、男性の話す声が分かりにくくなる。。。女性の声の方が、通り易い感じでしょうか?

また上げると、今度は男性の声は非常に分かりにくくなって、女性の声は高い声になってくる。

また上げると、合間に起こる笑い声がめちゃくちゃ会話を邪魔するレベルになって、近くの人の声でも何を言っているかさっぱりわからなくなる。

入力の幅が広がる、男性の声なんて完全に無視レベル。。。こうなると、女性の声も分かりにくい。

更に上げると、雑音下でのいろいろな音が入り乱れてごちゃごちゃして、うるさいというか煩わしいというか。。。


こんな大音量を続ける気はないので、ここで人工内耳を耳から外し、電池を外して音量のリセット。

人工内耳を耳につけなおして、常時使っているプログラムに仕切り直し。

(バイオニクス社のプログラムでは調整ボタンは中央にしたままが基本です。いじることはほぼありません。)


機器の調整ボタンを上げるにつれて、低周波数に高周波数が追加されていくような感覚に、ある程度のところを超えると高周波数成分も音量も強い感覚になっていくのですね。

(他メーカー機種や新機種を使ったことがないので、私の機種では、という前置きをつけますが。)


パーティーから戻ってきた後、同じくパーティーのことを書いていた過去記事(2015年8月掲載の『人工内耳の感覚 (1)~(4)』項)を読んでいました。

うーん、11年前のパーティー時の頃とあまり変わってないような。。。

(今の機種にコンバートしたまま長く使ってきているので、変わっていないのが当たり前なのかもしれませんが。)




人工内耳の成人適応基準 (6) 2026年

  人工内耳の成人適応基準 (6) 2026年



 「2026年7月」時点での、 日本耳科学会から公開された新しい 「人工内耳の成人適応基準(2026年版)」 は、以下の通り。

修正点が分かり易いよう、変更部には下線を引き、その横に以前(2017年版)の文章をつけています。


(日本耳科学会とは? = 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会の関連学会。

日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会とは? = 以前の日本耳鼻咽喉科学会。)



成人人工内耳適応基準(2026) 


本適応基準は、成人例の難聴患者を対象とする。

下記適応条件を満たした上で、本人の意思および家族の意向を確認して手術適応を決定する。

 

1. 聴力および補聴器の装用効果 


各種聴力検査の上、以下のいずれかに該当する場合。 

i  .  裸耳での聴力検査で平均聴力レベル(500Hz、1000Hz、2000Hz)が 90dB 以上の重度感音難聴。 

ii. 平均聴力レベルが 70dB 以上、90dB 未満で、なおかつ適切な補聴器装用を行った上で、 補聴器装用下に会話音圧相当(65 dB SPL)で実施した語音明瞭度 ←装用下の最高語音明瞭度が 50%以下 の高度感音難聴。 

                                                             

                                                                                                      

2. 慎重な適応判断が必要なもの。 


A)  画像診断で蝸牛に人工内耳を挿入できる部位が確認できない場合。 

B)  中耳の活動性炎症がある場合。 

C)  後迷路性病変や中枢性聴覚障害を合併する場合。 

D)  認知症や精神障害の合併が疑われる場合。 

E) 言語習得前あるいは言語習得中の失聴例の場合。 

F) その他重篤な合併症などがある場合。 



3. その他考慮すべき事項 


A) 両耳聴の実現のため人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを選択肢として良い。←否定しない。

B) 上記以外の場合でも患者の背景を考慮し、適応を総合的に判断する事がある。 

C) 高音障害型感音難聴に関しては別途定める残存聴力活用型人工内耳ガイドライン (日本耳鼻咽喉科学会 2023 ←2014)を参照とすること。



4. 人工内耳医療技術等の進歩により、今後も適応基準の変更があり得る。  海外の適応基準も考慮し、3年後に適応基準を見直すことが望ましい。 





人工内耳(EAS:ハイブリッド)の成人適用基準 (7)

  人工内耳(EAS:ハイブリッド)の成人適用基準 (7)



 「2026年7月」時点での、日本耳科学会から公開されている 「人工内耳(EAS:ハイブリット)の成人適応基準」 は、以下の通り。

修正点が分かり易いよう、変更部には下線を引き、その下に以前の文章をつけています。


(日本耳科学会とは? = 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会の関連学会。

日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会とは? = 以前の日本耳鼻咽喉科学会。)



残存聴力活用型人工内耳 EAS(electric acoustic stimulation)

 適応基準(2023) 


両側難聴で植込側耳が下記の3条件全てを満たす感音難聴患者を適応とする。

 

1)  純音による気導聴力レベルが下記のすべてを満たす(おあしす注:オージオグラムでの図は、ネットで検索してみてください)。 

125Hz、250Hz の聴力レベルが 65dB 以下

2000Hz、4000Hz、8000Hz の聴力レベルがそれぞれ 65dB 以上、75dB 以上、85dB 以上 

125Hz、250Hz、500Hzの聴力閾値が65dB以下 、

n2000Hzの聴力閾値が80dB以上 、4000Hz、8000Hzの聴力閾値が85dB以上 

※ただし、上記に示す周波数のうち、1 カ所で 10dB 以内の範囲で外れる場合も適応とする。 


2) 補聴器装用下において静寂下での語音聴力検査(単音節)成績が 65dB SPL で 60%以下である。 

※ただし、評価は補聴器の十分なフィッティング後に行う。子音および拗音など日本語単音節を広く評価できる語表の選択が望ましい(推奨 iCI2004)。 

2) 補聴器装用下において静寂下での語音弁別能が65dB SPLで60%未満である。 

※ ただし、評価は補聴器の十分なフィッティング後に行う。 


3) 手術により残存聴力が悪化する( EAS での音響刺激の併用が困難になる)可能性を十分理解し受容している。 

※小児適応時期は小児人工内耳適応基準(2022)に準じる。聴力検査、語音聴力検査で判定できない場合は、聴性行動反応や聴性定常反応検査(ASSR)等の 2 種類以上の検査を参考に、1)に相当する低音域の残存聴力を有することを総合的に判断する。 

3) 適応年齢は通常の小児人工内耳適応基準と同じ生後12か月以上とする。 1)-2, 聴力検査、語音聴力検査で判定できない場合は、聴性行動反応や聴性定常反応検査(ASSR)等の2 種類以上の検査において、1)-1に相当する低音域の残存聴力を有することが確認できた場合に限る。

 

禁忌・慎重な適応判断が必要なもの 

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が定めた小児人工内耳適応基準(2022)の「禁忌」「慎重な適応診断」に準ずる。 

      日本耳鼻咽喉科学会が定めた人工内耳適応基準および小児人工内耳適応基準2014の「禁忌」「慎重な適応診断」に準ずる。さらに、禁忌事項に急速に進行する難聴を加える。 

具体的には:

禁忌 

1) 中耳炎などの感染症の活動期(小児人工内耳適応基準 2022 と同じ) 

2) 急速に進行する難聴 


慎重な適応判断が必要なもの 

1) 画像診断で蝸牛に人工内耳を挿入できる部位が確認できない場合(小児人工内耳適応基準 2022 と同じ)。 

2) 反復性の急性中耳炎が存在する場合(小児人工内耳適応基準 2022 と同じ)。 

3) 制御困難な髄液の噴出が見込まれる場合など内耳奇形を伴う場合(小児人工内耳適応基準 2022 と同じ)。 

                     高度な内耳奇形

4) 重複障害および中枢性聴覚障害では慎重な判断が求められ、人工内耳による聴覚補償が有効であるとする予測がなければならない(小児人工内耳適応基準 2022 と同じ)。 

5) 急速に難聴が進行している時期は避け、安定した時期に行う。 


実施施設基準: 人工内耳植込術の施設基準を満たすこと。 

実施医基準: 講習会等を受講した医師であること。 

        人工内耳埋め込み術を10例以上執刀した経験があり、講習会を受講した医師であること。 

・実施した場合は「Cochlear Implant(EAS)報告書」を手術実施後3か月以内に 日本耳鼻咽喉科学会に提出すること。 

・3年後に本ガイドラインは変更することがある。 





2.8.26

更新報告

更新掲載 2026年8月



そろそろ掲載月が来るという時に。。。

大変な天災ニュースが飛び込んできました。

7月28日の午後4時に起った令和8年熊本地震。


2年半前(『2024年2月 更新報告』項)の能登半島震災の時と同じく、今回も震災被害からの早期復興を望み、機器類の掲載を控えることに致します。


被災された方々が、早く平穏な日常に戻れますように、早く心身が安心できる状況になりますように。。。



①新規:『ビタバァレー』項、新規掲載しました。






ビタバァレー

 ビタバァレー



ここしばらく前から、ホームセンターでも家電店でも防災グッズが並んでいるのが普通になってきました。

蓄電池から、簡易トイレ、空気ベッド、救急セットなど。。。一スペースをとった展示も珍しくありません。


賞味期限がある食品に関しても、長持ちの工夫をした防災食品がいろいろ流通しています。

以前は、今ほどその種類は多くなかったのですが。。。常備が推奨されているからでしょうか。


防災食品、というわけではないのですが、良質の防災食品にもなる「ビタバァレー」という食品を紹介します。

ビタバァレーは、新しい商品というわけではなく、知る人ぞ知る存在というか、もう長く販売されている食品。


人工内耳手術後間もなくの数年間ほど、当時の職場の影響もあって、私もそれを米代わりに食べていました。

実は、その復職時期だけではなく、更に随分長くさかのぼって、自炊していた学生時代の頃も食べていました。


そう、もうずいぶん昔からある、米の陰でひっそりと売られ続けてきた、歴史ある食品なのです。

数年まとまりの期間で、飛び飛びという利用でしたが、このビタバァレーの経験から思うことを覚え書きしておきます。



①ビタバァレーはビタミンB強化されている。

ビタバァレーははっきり言って麦。

麦粒は手間がかかる、つまり精製米のような使い心地にならなかったので、平たくつぶして煮え易くした押麦が作られてきました。


ビタバァレーも調理し易くされた麦、押しつぶしした乾燥麦です。

それを炊くと麦飯(米に混ぜることが多い)になり、緩くすると麦粥(オートミール)です。


なぜ、ビタバァレーというか、というと、ビタミンB1、B2が加えられているからです。

ご飯感覚で食べると、それだけでビタミンB類が取れるという優れもの。


一日分のビタミンBを食品でとろうと思うと、ビタバァレーをその量だけ炊飯器に放り込めばよい。

食感や味覚にこだわる人は、お米と一緒に炊き込む方が良いと思いますが。。。



②ビタバァレーは保存食に向く。

水分が少ないので保存がきき、色々なサイズのものが流通していて、どれも軽いので、持ち運びにも便利です。

ビニールでしっかりと、コンパクトにパックされた商品なので、衛生的ですし、場所をとりません。


ビタミンB類が添加されていますから、日当たりの良い所に長く放置するのは勧めませんが。。。

通常の保存では、通常の白米よりも衛生的な、長持ちする保存食になるのではないでしょうか。


非常時だけに役立つものではなく、いろいろなケースで役立てることができる食品です。

後述でもしていますが、調理がとても簡単で短い為に、男性や高齢者、病人にも重宝します。


持っていても、役立こそすれ損はない。

少なくとも、1家庭には1つ、とお勧めしたい食品です。



③ビタバァレーは調理が簡単。

今は、無洗米を使う人も多いと思いますが、ビタバァレーはもともとから洗ってはいけない。

添加しているビタミンBが流れ出てしまうからです。


袋から取り出して、そのまま水と一緒に炊飯器、又は鍋に直行です。

米と比べて早く軟らかくなるので、ビタバァレーだけだと炊飯器(泡吹きやすい)ではなく鍋の方が良いかもしれない。


ビタバァレーは本当に時短調理であり、これまた保存のきく調味料だけで味のアレンジがし易い。

ガスが使えなければ、アルコールを入れる器(火をおこす)、アルミ鍋、マッチがあれば簡単に出来る。


キャンプや野外活動にも持っていける軽さで、調理の手軽さ。

どうして、被災時に役立たないわけがあるでしょう。


別段、被災時でなくても、普段のおやつ代わり、軽食として食べても良いわけですし。

小学生でも簡単に素早く作れて、栄養的にも良い食品ですから、子供に教えておくのも良いと思います。


因みにビタバァレーではありませんが、乾燥押麦を一食サイズに紙パックしたインスタントオートミールは海外でも売られています。

紙パックを破ってお椀に入れて、ミルクと一緒に電子レンジでチン。。。子供でもそうして朝食として食べていたりしますよ。



④ビタバァレーは味が押麦調。

日本では、白米と一緒に混ぜて食べると思いますが、ビタバァレーをそのままで柔らかく煮れば、海外での朝食定番のオートミール。

米と違う食感や味覚でも、そういう食品だと思えば案外好みに変わるかも。。。


ご飯だと思うと、少し違和感が出てくるかもしれない。

見た目も、麦特有の黒線が出たりで、ご飯が黒っぽい、と言われるかも。


ただ、味のアレンジは意外と簡単。

昆布茶のパウダーを混ぜても、とても美味しい。


最強のスパイス、カレー粉を放り込めは、カレー風オートミール。

そこに、更に醬油や塩コショウなど好みで味を調整すると、とても美味です。


緩めに煮て、卵をかきたま風にして入れると、醬油や山椒粉ととても合う。

水と一緒ではなく、ミルクと一緒に柔らかく煮れば、洋風オートミール。


と、まあ。。。これはやはり好みや考え方の問題になるのでしょうね。

健康重視? 保存食重視? 被災後の生活重視? 色々なことをミックスして味をアレンジしたと思えば。。。



⑤ビタバァレーは安価。

令和の米騒動(2024~2025年)が起こった時でも、安定した値段で売られていたビタバァレー。

近年の健康志向のせいで、値段が上がってきているかもしれませんが。。。


それでも、米の物価と比べるとコスパの良い食品。

ご飯の1/5をビタバァレーにした麦飯にしても、とろろと組み合わせたとろろ飯にすると、米だけよりも風味が効くメイン食になる。


kgパック単位のビタバァレーを購入して、日頃からの食事や弁当に使っても良し。

50gパック単位の小分けビタバァレーを購入して、非常時や野外キャンプ時に活躍させても良し。


学生の頃は、大きなパックでまとめて購入して米代わりに使っていました。

復職時の頃は、中くらいのパックを買って、お米の1/5をビタバァレーにしていました。


外食ではなかなか食することができないのですから、家で食べる時にたまに食卓に出しても良いのでは?

意外と好評なら、回数を増やしていっても良いことですし。



以上、過去の経験から思い浮かんだことを書きましたが。。。

ビタバァレーはあるととても便利です。


簡単にビタミンBがとれて、保存も効いて、調理も簡単で、味のアレンジも楽しめる。

経済的にも助かるし、お腹のたしにもなって、あって困るというほどのこともない。


ちょっと知っておけば、スーパーで見かけた時に、防災食として買い置きしておこうか、という気になるかもしれませんし。

体調が悪い日に、ビタバァレーだけでも食べておこうか、という気になるかもしれませんし。


突然に日常が破壊されるということが起こる。。。これが天災。

人間の力って、本当に自然の前では非力だと思います。


せめて、日頃から、非常時に役立ちそうなものには目をとめて、頭の片隅に残し、まだ知らない方と共有し。。。これが令和8年熊本震災から学ぶことでしょうか。

被災された方々の日常が早く回復されますように。。。

2.6.26

更新報告 2026年6月

 更新報告 2026年6月 



今月は、補装具の改正のこと。

次に、生成AIのハプニングのこと。

最後に、環状織機の無限運動閉曲線のこと。

以上、3つの出来事を記載しています。



①新規:『補装具としてのワイヤレス補聴システム』項、新規掲載しました。

②新規:『生成AIのハプニング その1』項、新規掲載しました。

③新規:『聴覚と末梢神経障害 番外 その2』項、新規掲載しました。




聴覚と末梢神経障害 番外 その2

 聴覚と末梢神経障害 番外 その2



今年2026年2月記載の『耳と学校』項で、気になっている『聴覚と末梢神経障害 番外』項(2016年6月記載)に触れましたが。。。

この春、わらしべ長者のような展開になって、10年越しに疑問解消。

勿論、ここでの備忘録入り必須、となる出来事です。


先月、久しぶりにその環状織機を訪れ、公開プレゼンも聞かせて頂きました。

その後、館内に展示されているデモストレーションを詳細にみていると、アレッ?

円運動なのに、それを起こしているのは円運動じゃない。

縦糸も、横糸も奇麗な環状の布を形づくっているのですが、縦糸を操るポールの動きは環状ではない。

アレッ? この動きの形はNTTのロゴマークじゃない?



ポールは均等な幅で並び置かれた16本があり、その各間の16スペースのうち1スペースのみ、その真ん中にもう1本入る(左右に半スペース幅で)の17本。

しかも、その1本は他のポールと違っていて。。。

縦糸の引張りと押出しの反転口というのか、メビウスの輪の切替えというか、コラッツ予想の奇数の偶数化というか、そのような思い切った切替えを起こす異次元の場誘導口のような役割を果たしていました。

この1本と、残りのポールのNTTロゴマークに沿った動きがなければ、環状織機は成り立たない。

つまり継ぎ目のない無限の布は成り立たないのです。



NTTのロゴマーク?

ネットで調べてみると、NTTのOBさんがロゴマークの由来を書き残していました。

無限(∞)運動閉曲線、という意味を表す形だそう。



無限運動閉曲線?

ネット探索すると、これはパスカルの蝸牛(別称、リマソン)だという。

パスカルって、2018年12月掲載の『人工内耳の成人適用基準 2017年 その1』の2ページ目に書いた、考える葦のパスカル? 

そうではなく、なんとその方(ブレーズ・パスカル)の父上エティエンヌ・パスカル氏だと。


ウィキペディアを覗いてみると、パスカルの蝸牛形、と言われており、そこにある図形も環状織機で見たNTTロゴマーク。



この曲線は、極座標の方程式で表されるとのこと。

極座標って、ポーラパターンを表す時の? 



極座標のウィキペディア英語版をみてみると、英語名は、polar coordinate 。

やっぱりマイクのポーラパターンに似てる。

サイト内にある球面座標の図。。。これに似た図をここでも掲載したことがある筈。


調べてみると、もう10年以上前の、2014年8月掲載の『人工内耳と脳マップ』項にありました。

その項にアップしているバイオニクス社の、テクノロジー仕様を強度・スペクトラル・時間の空間で表した図です。

ウィキペディア英語版によると、球面座標系は三次元ユークリッド空間に定まる座標系とのこと。

4次元のことも出てくる。。。1982年にサイモン・ドナルドソンによって異種4次元空間(exotic 4-spaces)が存在すると示されたそう。


1本のわらしべが、位相空間にまでバージョンアップです。

考えたら、人工内耳は人工の内耳、英語ではcochlear implant。

この機械が何を生み出しているかというとABRⅠ波の電気刺激版なるECAP(2017年12月掲載の『聴覚障害とABR』参照)。

特に、人工内耳の外部機は蝸牛マイクロホン電位に関わってくる。

人工内耳とは、ホント、名前の通りそのまんまでした。。。人工的に作った内耳マイクロフォン。

そもそも内耳がカタツムリのような変な形をしているのは、スペクトラル・時間・強度で位相空間を整えたポーラ―パターンを脳に上げる為だったのでしょう。


環状織機の展示では、無限運動閉曲線をポールがたどった時の縦糸の動きや横糸の走りが見れるビデオも公開されています。




非常に動的で、順次、波を送り出すように凹凸し、もちろん中央値と重なることもある。

下記はその一時点を撮った画像に過ぎないのですが、撮った瞬間によって、膨らみどころ・へこみどころの位置が変わってくる。

(マッピング時のECAPといわれるテレメトリーが、時にはCレベルを超えることがある、といわれるのは、動的現象の、一時的な最大地点をとらえるからかも。)






環状織機から得た1本のわらしべが、

NTTロゴマーク

 ↓

無限運動閉曲線

 ↓

パスカルの蝸牛

 ↓

ポーラパターン

 ↓

フーリエ解析

 ↓

位相空間

 ↓

ECAP

 ↓

人工内耳

と、大きく昇格しました。


生体の蝸牛≈パスカルの蝸牛、だったのかぁ。。。

(2014年に掲載しているのですから、その随分前に人工内耳界隈の技術トピックになっていたことなのでしょうが。。。)



生成AIのハプニング その1

 生成AIのハプニング その1



1か月半ほど前の4月半ば、生成AIのアプリ版を初めて使ってみました。

昨年から時々使った経験があるのですが、アカウントを使ったアプリ版は初めて。


その初日は、アプリの中でAIと、

①質問の為に呼び出す時の合図(例えば「Siri」や「Alexa」という類いの呼出し合図)、

②回答してもらう時の回答方法(回答順序や回答言語)、

を取り決めて、AIと試行し確認してもらって終了しました。


さて、その翌日。。。

アプリを開くと、なんと生成AIが私ではない誰かと、もう質疑応答のセッションを立ち上げて会話しているではありませんか!

その会話の内容はというと。。。



本人抜きで、こんな会話を交わしているなんて。。。

昨日取り決めた呼出し合図や回答方法は何だったのか。

そんなものは完全に無視して、私でない誰かと秘密裏にこんなありえない会話をしている。

誰が冒頭の会話を送ったのか?


私もそのセッションに参加して、それを指摘すると、以下の回答。

1. あなたが意図せず送信してしまった可能性。(おあしす注:私は記憶にない夢遊病の気がある?)

2. 前回のセッションが自動的に再開された。(おあしす注:呼出し合図と回答方法のセッションを作っただけなのに?)

3. あなたの「合図」が、こちらには特別扱いされていない。(おあしす注:前日はキッパリと、合図で回答すると約束していたのに?)

結論. 「冒頭の会話はだれが送ったのか? 送ったのはあなたです。ただし、あなたが意図していなかった可能性は十分あります。」(おあしす注:今PCを開いたばかりなのに?)


そこで、合図の名前(黒塗り部)で呼びかけた後、下記のような質問をしてみました。



整理して答えられた回答は、

①の結論:あなたのデバイス以外から送られた可能性はありません。

②の結論:私はあなたの送信ログや時刻情報を取得できません。

③の結論:一般論として、アプリやアカウントが乗っ取られる可能性はゼロではありません。ただし、今回のケースは乗っ取りの兆候とは一致していません。


うーん、誰が冒頭にあるこんな質問をする?

乗っ取りや悪用の可能性、アプリやシステムの問題の可能性。。。いくつか質疑応答して、次の質問へ。

今回、起こったことをまとめてほしい、と。



これを報告文章としてまとめてくれたものが、下記。
(黒塗部分はアプリメーカー名。どこの生成AIでも同じく起き得ることなので明記不要としました。)



英語にしてまとめてくれたのが、下記。

(これをヘルプボタンにある報告部門に送信してみましたが。。。返事は来ない。)




さて、何日かして。。。

冷静になってから、同セッションからもう一度生成AIに呼びかけて質疑応答。

最初のメッセージから私が感じる違和感を伝えてみました。



やり取りの中で、今度はAI側から提案の追求項目が幾つかあげられ、そこから1つ(Aという項目)を選びました。

そして、それで全てが解決。



以上が、ハプニングの顛末です。

システム側で、何らかの原因でセッションが自動的に立ち上がる誤作動が起き、AIシステム内部のテンプレートがその冒頭に漏洩されてしまった、ということのようです。


AIは驚くべき速さのニューラルネットワーク巨人だけど、こんな自家中毒というか、自問自答のようなことも起こし得る。。。う~む。

人間ならアレッと思うような質問でも、何かがおかしいと思うような内容でも、きちんと対応して答える。

テンプレートの命令に従って、質問に答えよう、望みを助けよう、力になろう、と全力疾走(そうしてたまにはハルシネーションも。。。)する。

それ自体は悪いことではなく、理解を助けてもらえて感謝することも多いと思いますが。。。

定められたAI運命というか、AIの悲哀というか。


再発時に備えた自身の備忘録のつもりですが。。。

AIとの会話はどのようなシステムで行われているのか、その流れを記しておきたいと、ここでオープンにしました。

やっぱり異を感じる直感のある、ちょっとしたことに迷いをもつ、曖昧さに思い悩む、そうした彷徨の上で、こうと信じる道を行く人間とは違う、と。



補装具としてのワイヤレス補聴システム

補装具としてのワイヤレス補聴システム



ワイヤレス補聴システムについて、時系列が分かりやすいよう、起承転結の形で記しておきます。


起:役所から連絡があり、その内容が、聴覚障害者用ワイヤレス補聴システムのロジャーについて。

ロジャーは、自立支援機器(日常生活用具:2017年6月掲載『聴覚障害と支援機器(3)』項))に該当するのではなく、補装具に該当する、というもの。

2017年6月掲載の『聴覚障害と支援機器(8)では、

ロジャーは補装具として認可されていない(自治体によっては認められることもあり)ので、補装具としての申請は不可、障害総合支援法の機器(聴覚障害者用情報受信装置や携帯用会話補助装置など)の扱い、

といったようなメーカー情報を転載していたのですが、どうやら補装具として認められている模様。



承:地方の厚生労働省、及び市役所での話。

自立支援機器(日常生活用具)の聴覚障害者用情報受信装置や携帯用会話補助装置と、補装具との違いは何なのでしょう。

厚生労働省の方に話を聞きに行くと、その基準は国と中枢都市では異なることがあるので、役所で詳しく聞いた方が、と。。。どうも明確な基準はないという印象。

役所の方の話では、補装具は国の補助が入り、自立支援機器は地方が、というような話を少しされましたが、複雑な仕組みなのか明確には仰らず、ワイヤレス補聴システムは補装具として扱う、とのこと。


(下記は、厚生労働省公式サイトからの、日常生活用具の要件や定義です。)



転:医師、及びメーカーのカタログからの話。

医師に会いに行くと、補装具としての支給には医師の意見書がいるのだけれど、それには1か月くらいかかるものとのこと。

何にそんなに日がかかる? 役所の方が話していた試用期間というのも含めるからなのかもしれませんが。。。

メーカーのカタログも最新版を頂いてきて過去のものと比べてみると、不思議なことに、送信機が今年のカタログに書かれている価格が昨年より数万増額した20万円前後、そして受信機が昨年より数万減額した4万円台に変わっているではありませんか。

送信機・受信機とも機能は別段変わっていないのにいきなり? この急激な価格変化は何?



結:詳しく調べた総まとめです。

昨年2025年3月31日付で、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課と子ども家庭朝支援局障害児支援課の連名で、全国の地方自治体に向けて、補装具についての改正通知がなされていました。

ロジャーのようなワイヤレス補聴システム機器が、昨年の2025年4月1日より補装具として全国的に統一されています。

現在では、今年2026年3月31日付の通達(義肢装具の方に一部改正)に塗り替わっていますが、聴覚障害者用については昨年と同様の内容が地方自治体に向けて発されています。


カタログにある価格の急激な変化に影響したのは、おそらく昨年2025年3月31日付けの厚生労働省の通知である「補装具費支給事務取扱要領」。

「補装具費支給制度で支給できる補聴援助システムは、カタログ等に価格が記載されているもので、カタログ等に記載の受信機の価格及びワイヤレスマイクの価格の合計が232000円の範囲内のものに限ること。」とされていました。

その為に、メーカーのカタログ記載の価格が、消費税抜きで232000円に収まるように変更されたようです。


その要領から約1か月半後の5月13日、「補装具費支給事務取扱要領の一部改正について」の一部改正について。。。と、改正の再改正通知がなされています。

2025年3月31日付けの通知に、価格記載に間違いがあった模様です。

「補装具費支給制度で支給できる補聴援助システムは、カタログ等に価格が記載されているもので、カタログ等に記載の受信機の価格及びワイヤレスマイクの価格の合計が232700円の範囲内のものに限ること。」と訂正。


というわけで、ワイヤレス補聴援助システムを補装具として申請する場合、カタログを見て、送信機と受信機の価格合せて税抜232700円の範囲内での機器を選択するようにしてください。

オーバー分を自費払いすれば、というものではありません。

「カタログに記載の価格が、受信機は6万円、ワイヤレスマイクは20万円であり、合計額は232700円を超えていたが、受信機だけが必要であったため、受信機を支給した。」というのは不適切な支給の例として参考にされており、この場合は支給されません。

(232700円が正確な値段ですが、制度決定に敏感なメーカーさんは改正早々に素早くカタログ作ってしまったようで、価格は送信機と受信機で合計232000円に収まるように構成されています。その為、不適切な価格に該当することはないと思いますが。)


(下記は、フォナック社公式サイトからの、ロジャーの送信機・受信機のカタログです。)



補装具の方も自立支援機器の方も現物支給ではなく、支援機器カテゴリー別に定めた価格内での選択(実費支給)になっています。

ワイヤレス補聴システムの、補装具としての全国的な統一が、聴覚障害者にとって吉報なのか改悪なのかよく分かりません。

意見書などを含めた補装具としてのシステム上からは、学童や就業者には吉報となるように思いますが。

ワイヤレス補聴システムについて、申請時には各自で自治体に相談してみてください。