2.12.24
人工内耳の年末大掃除
人工内耳の年末大掃除
手術を受けてから後半年ほどで20年に。。。早いものです。
外部機はその間に故障や寿命が起こり、機種交換するということはありました。
幸いなことに大きな問題はなく、最後に交換して以来、マップをいじることもなく今まで来ています。
(一度外部機が止まってしまったことがありましたが、しばらくして再起動するようになりました。)
内部機の方はもしものことがあると手術が必要なので、交換不要レベルのものでなければ困るのですが、20年近くになっても問題なく、もはや内部にものが入っていることを感じないくらいになっています。
こうした経験からですが。。。成人ではともかく、乳幼児時に装用したとしても、その後、成人になって社会に出たり家庭を持ったとしても、内部機は十分安泰、ほぼ永久的な頑丈性はありますよ、と。
(不測の事故などはあるのかもしれませんが、一般的に。。。)
ただ、正直に言って、今でも聞こえ方には、満足と思える時もあれば、なんだか奇妙に滲んだ聞こえと思える時もある。
この間など、静かなところで初対面の人含めて5人くらいで小さめのテーブルを囲んで話をしたのですが。。。
会話全体が解像度がダウンサイズしたような判別不能な発音に聞こえていたり、かと思うと、ところどころで単語が明瞭な発音で聞こえてきたり。。。
静かなところでも、5人くらいの複数人となると、それぞれの人のホルマントに機械が合わせるのが困難になる(遅延が妙に大きくなってしまう?)ということなのでしょうか。
(そういう聞こえになっている時は、自分の声も違う聞こえになるので話しづらい、聞こえに合わせると発音もおかしくなり、リズムやタイミングもおかしくなり、何だかとても普通になど話せない感覚、黙って聞いていた方が良いかもという感覚。。。それは日本語であろうと同じで、分からない箇所の聞き返しをしたら、というレベルではなく。。。)
特に、早口やはっきりしない馴れ口のような場面では、私の英語聴取能力というより、機械の音声解像能力がついていけてないということの方が大きいような気がしています。
判別不可能な音の流れの中にも、そのうちからいきなり単語や単音が明瞭化する時があり。。。
話者が強調して話す部分とか、話の区切りとか、慣用句とか、何か明瞭になる条件があって機械判別がやっと追随するということなのでしょうか。
そうした時々ながらも耳に入ってくる明瞭化した単語を、判別不能のヘナヘナ部と推測でつなげて、会話を理解するという聞き方になっていました。
(私は片耳装用なので、反対耳側に座っている人の声は頭を回り込んで入ってくる言葉しか聞き取れず、その影響が多分にあるのかもしれないのですが)
それからまもなくの日、今度は大きいテーブルを又複数人の4名で囲みました。
今度は既知の者ばかりで、私の人工内耳聴取のことも知っている人ばかり。
テレビなどついていないリビングで、3人とも皆、私の前方側に座り、はっきりめに話してくれるし、話す間隔も十分とってくれている。
テーブルが大きいので、その距離分、聞き取りにくくて判別しにくい声という聞こえはありましたが、入ってくる音声は大きいのに音声自体が判別不能な滲み方をする、という先日5名でのような聞こえ方にはならない。
勿論、私の英語能力からや、話が早まってしまってわかりにくくなった場面もありましたが、分かりにくい部分について聞き返して教えてもらうことができる。
こういう聞こえ状態のときは、日本語でなら分かり難かった部分を聞き返したりできるのですが、英語でもそれに近い聞き方ができるということで。。。
英語を話すときは、ある程度リズム感が必要なのですが、そうしたリズム感が不自然なく出てくる。
人工内耳は、生身の耳よりは音声認識機器に近いのかもしれない。
フィルタ分けのデータに近似がないような初めての話者の場合、きちんと判別することができず、滞ってしまう(遅延ぎみ)のではないでしょうか?
それとも、環境に応じた自動調整が聴取音声に影響してしまう現象なのでしょうか?
静かな場所での会話やはっきりした言葉は語音弁別し易く、うるさい場所や多人数では(今は以前より雑音抑制は良くなっていますが)各個人の会話スピードやホルマントの変換などでカオス化する。
人工内耳に馴染んでしまうと、人工内耳の聞こえが自分の耳の聞こえの感覚になってしまうので。。。これって、滲んだ聞こえを自分の能力ミスととってしまう感覚になるのでは?
メンタル的にそういう感覚になっておかしくない感じがします。
他の人工内耳装用児、装用者の方々はもう既知で、それぞれ対処されていることかもしれないのですが。。。
これはもう、機械の限界と割り切るしかないような。。。
人工内耳を装用するということは、聞こえを利用して普通に幸せに生活しよう、ということが目的の筈。
聞き取りが良い時ばかりではなく、聞き取りが悪い場面も同じく出てくるのが実際なのですが。。。
変な言い方ですが、良いときのみに目を向けて、と。
良いときのほうが多いではないですか。
聞こえなければ体験できなかったことも多い。
悪いときに目を向けると、沼にはまってしまいます。
時に起こる悪いときは、循環を断つためにもスパッと忘れて、人工内耳はよく聞こえる時もあれば、こういうことも起こるものだと割り切って、と。
何だか変な内容になりましたが、年末ですからね。
参加するイベントも多くなる、聞き取り良し悪しの波が押し寄せる年末です。
また始まる新年に向けて、人工内耳の聴取の悪い時についての大掃除も大事。。。
6.10.24
更新報告
更新報告 2024年10月
前回、2024年8月掲載の『人工内耳と指向性マイク』項の終わりの方で、ストリームによる聴取について少し触れていましたが、そのことで訂正があります。
「ケーブルにつないで人工内耳に直にストリームさせる方法は、音量的には安定しているのですが、音質的には、私には上記の聞き方で聞くよりも分かりにくいという感じです。クリッピングかな? 理由がよくわからないのですが。。。」
と記していましたが、原因が分かりました。
テレビにケーブルでつないだ送信機用ドッキング機器に音量調整ボタンがついていることが当初は分からず、送信音量が最大になっていました。
(調整ボタンがドッキングの色に溶け込んでいる為、一見するとドッキング機器には送信機差込口とケーブル類差込み以外、何もないように見えるので。)
送信機はロジャーオン。
そのドッキング機器はテレビ音声を受信機にストリームさせる他、充電器の役割も果たしています。
送信機自体には音量調整がないのですが、テレビ音声をストリームさせるドッキング機器には機器と同色の音量調整ボタンが側面についてあり、それで送信音量を調整できるようになっていました。
受信機はロジャーフォーカス。
「人工内耳に直にストリームさせる方法」と書いていましたが、正確に言うと。。。
送信機のマイクでテレビ音声を拾うのではなく、テレビと送信機をケーブルでつないで無線を飛ばし、人工内耳のマイクにチューブ接着した受信機にストリームしてテレビ放送を聞く方法、です。
当初、ドッキング機器の音量調整ボタンに気付かず、大きな音量で送信していた為、人工内耳機器か受信器の方で音量制限されてしまったようです。
だから、クリッピングに似た聞こえになっていたのですね。
音量調整ボタンで適正音量に直すと、聴取が大幅にアップしました。
送信マイクの設定を話者モードに変えてテレビから50cm位の距離に置く、テレビからの距離を1メートル未満くらいにして人工内耳で直に聞く、などと別の聞き方を記していましたが、そのような方法よりもドッキング機器からストリームして聞く方がずっと分かり易い聞こえです。
こちらの扱い方の問題で、誤った感想を記してしまい。。。申し訳ありません。
発売元のフォナック社にも、大変失礼致しました。
遅くになりましたが、今月の『更新報告』項のほか、前回掲載項の方にも訂正とお詫びを伝えさせて頂きます。
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今月の掲載にあたって、4年前の同月10月の掲載を読んでみましたら。。。
不思議と4年後の今でも、文章のところどころを少々いじるだけで通用する。
時代が繰り返されているわけではないのに、何だか被っているところがあるものなのですね。
そこで。。。項目名も同じにして「その2」とし、わざと被らせた掲載を試して見ました。
2020年10月掲載と同様の項目で、下記のとおり、新規掲載です。
①新規:『掲載遅延のお知らせ その2』項、新規掲載です。
②新規:『マップが合わない時 その2---エアコン編』項、新規掲載です。
③新規:『マップが合わない時 その3』項、新規掲載です。
掲載遅延のお知らせ その2
掲載遅延のお知らせ その2
2024年10月初頭..。コロナニュースはあまり見かけることもなくなってきましたが,まだちらほらマスクをかけている人もいる(10月なのに暑い中)この頃です。
今はどこの国でもですが,コロナで持ち出しになった経済を立て直す為にとられた政策の影響で物価が上昇、それに圧迫される生活をどう支えていくか、そういうことが政府の課題になって来ているところでしょうか。
こうした課題がある中、日本では石破首相での政権が誕生、10月1日夜に新内閣が発足したところですが、米国ではこれから次の4年間の大統領が選出される選挙が間近になったところです。
米国大統領選挙を前にして、両党首とも討論会で挙げた直面すべき課題に対する対策案を目玉に票獲得に走っています。
選挙レースの中盤では、再選をかけて臨んでいた片方の党首、現米国大統領が最初の討論後にコロナにかかってしまい選挙はどうなることかと危ぶまれたりした時期もありました。
この党首、まもなく回復してテレビでも元気そうな姿を見せていましたが、討論会に続きの災難で考えるところがあったのか、レースを現副大統領に譲ることを表明し、よもや初の女性米国大統領が生まれるかもしれないという状況になっています。
ともかく、両党首での4年間をそれぞれ体験した投票者がどちらの方が良かったか考える当初の状況が、相違が大きくなった(性別、年齢、人種など)両党首のうちのどちらの方が良い未来をつくるのか考える状況になったという、予想外の展開をする2024年です。
社会の方では、コロナ禍の影響で急速に普及に進んだITテクノロジーがAIを浮上させ、それをコンピューターメーカーが競って新製品に採用、ちょうど4年前に購入した私のコンピューターも来年にはもうサポートされない旧機種に仲間入り、という早急なIT世代交代の悲劇を被っています。
日本でも家電店に行けば店員さんが新製品のAI機能を紹介してくれる。。。デモとしてカレーの作り方とか聞いてくれたりする。
(AIの紹介するレシピを全部揃えたらスパイスだけでレストラン代金が飛びそう。。。)
AIを相手にコミュニケーションするのは私には向かないかも。。。と思えてきました。
人工内耳でも。。。AIによる調整がなされる話はちらほら見かけます。
人工内耳にAIとは何ぞや? 環境適応や雑音抑制などの方面で使うということなのでしょうか、マイクの指向性を自動調整にするということなのでしょうか、ダイナミックレンジを最適に動かすということのなのでしょうか。。。AIという言葉からではどのような実装なのかよく分かりません。
まさか脳に変わって言葉をまとめてくれる、話の要約もしてくれる、意味もちゃんと正してくれる。。。なんてことをしてくれる人工内耳が出現するわけではないでしょうし。
PCメーカーはじめ色々なところでAI採用が活発になっていますが、目下のところ人工内耳の方はこれといったニュースはありません。
寧ろ、人工内耳の一番重視すべき点は、昔からそれほど変わっていないのではないかとさえ思えています。
掲載月が来て、書き始めた10月分なのですが。。。
今回は、4年前の同10月掲載に被らせながらの掲載になりますので少々遅れますが、ご了承の程よろしくお願いします。
マップが合わない時 その2---エアコン編
マップが合わない時 その2---エアコン編
2024年10月初頭は夏。。。
これはもう。。。人工内耳のマップが合う合わない以前に、体温の調整が合わない、と思いませんか。
気温の快適域は26℃前後の筈で、そこに服など身に着けて普通に生活できる。
それなのに、30℃を超える秋。。。着けた服は汗で密着し、頭は朦朧としてきます。
人間の体温は36.6℃くらい、お風呂でも40℃とか平気で入っているし。。。と思っても、やっぱり我慢できない暑さです。
自然に反すると思っても、エアコンを稼働させなくては、干からびる、というより、蒸し焼きになりそうな残暑。
というわけで、『マップが合わない時 その2』が題名なのですが、まずはエアコンについて。。。
エアコンの設定って、どのくらいにすべきなのでしょうか?
「おあしす」のスペースはそれほどないので、24℃設定でスイッチオン。
天井吊下げ形のエアコンですが、時間がたつと涼しくなってきます。
30分もするとエアコン効きすぎかも、と。。。設定温度を変更することに。
以前、幹細胞を培養するのにどのくらいの温度が最適なのかと聞いてみたことがあるのですが、その返答は37℃とのこと。
実際、その温度で培養された細胞達は、増殖してノービノビうごめき始めるではありませんか。
考えたら、私達が体温計で計る温度は腋の下で、36,6℃くらい。
アメリカでは口の中、あるいは直腸で測るらしく、37℃くらい。
母親のお腹にいた頃はおそらく37℃くらいで生活していたのではないでしょうか。
自身の体温や生活環境が36℃以上を体験してきているのに、どうして気温が30℃くらいでも暑くてたまらないのでしょう。
根性論で頑張ってみましたが、ギブ。。。
反対に、どうして気温が20℃以下に下がると寒く感じるのでしょうか。
エアコン24℃でさえ、しばらくすると効きすぎなのか頭がズキズキします。
書をあさると、人の身体には温度受容器があって、暑いと興奮してシグナルを出す温受容器と、寒いとシグナル信号を出す寒受容器が体表にあるのだそう。
それぞれ専用の神経線維と接続され、脳の体温調節中枢へ通信するのだとか。。。これが求心性。
遠心性の方は、脳の体温調節から皮膚の温点あるいは寒点と、熱の放散や産生のために連絡を取り合うとのこと。
体温調節中枢は脳の視床下部という部分に局在していて、シグナル受信や指令発信を受け持つのだそう。
詳しくはそれを専門に書いている人のものを参照してみてください。
ここではエアコンのことについて。。。ですので。
気温の快適域は、26℃くらいを中央値として、その±2℃前後くらいでバランスをとっているとすると、だいたい24~28℃くらいでしょうか。
体温より約10℃低い気温が快適と感じるのは、人体ではそのくらい低めの気温と体温とが等価とみなされるような何らかのシステムがあり、それで温度感覚のバランスが取れているということでしょうか。
あまり難しいことは考えずに、26℃に変更してみると。。。
26℃くらいで心地よい。
しかしながら、エアコンが大型の為、音もそれなりで。。。
エアコンの音も長く続くと辛いと思いながら、設定リモコンを見ていると、「ドライ」というのもある。
気温がびっくりするほど高い国でも、湿度が低いと日陰に入るとそんなに暑くないのですよね。
もしかすると、日本は湿度があるから暑いのかも。。。
「冷房」ではなく「ドライ」にすればどうなのだろう?
「冷房」を止めて「ドライ」にしてみました。
う~ん、冷房をかけたのとそれほど変わらない?
どう違うの?と、思って、ネットで調べたところ。。。
「ドライ」はスイッチオンした時の室内温度をセンサーで記憶し、それを基準として、除湿後の空気を調整するのだとか。
部屋の空気を吸い込み、それを「冷房」と同じく冷やして結露させ、そこで出る水分を捨てて空気だけ部屋に戻す。
これが「ドライ」の中でも「弱冷房除湿」だそうです。
もう一つ、吸い込んだ空気を冷やして除湿するけれど、除湿後の空気が部屋の温度より低いと、室温に温め直す「再熱除湿」というものもある。
私の場合、先に冷房をかけてからドライに変えたので、ドライ時の基準の温度は冷房後の部屋温度になります。
だから、室温としてはあまり変わりを感じられなかったのですね。
暑い部屋で「ドライ」をオンにすると(特に「再熱除湿」では)、冷やして結露水を除いた空気が記憶された部屋温度より低いので温め直されてしまう、これだと湿度は下がるけど、温度は下がらない。
夏場にこれをやるというのは、電気代の無駄のもよう。
実際、電気代は、
「弱冷房除湿のドライ」<「冷房」<「再熱除湿のドライ」
に上がっていくのだそうです。
一般的に設定では、「弱冷房除湿のドライ」が「ドライ」と表示され、「再熱除湿のドライ」が「除湿」と表示されているようです。
(エアコンメーカーによるかもしれません、確認を。。。)
エアコンでの「ドライ」の使い方としては。。。
①最初に、「冷房」をしばらく入れて部屋の空気を快適域に入るように下げる。
②次に、「ドライ」にしてスイッチオン時の室内温度をセンサーで記憶させ、除湿する。
③最後に、湿気がとれ身体も冷えてきたら、扇風機をサブからメインにしてもよいかも。
というのが、健康面でも経済面でも機器管理面でもおすすめの方法のようです。
ところが。。。今書いていることはもう遅いことなのかも。
今はAIテクノロジーの時代。
自動でやってくれるのですよ、こんなこと。
今の、というか、しばらく前からエアコンというのは、温度も湿度も人感知もセンサーでチェックして、自動でちゃんと調節してくれる。
知らないから、私が自分で「冷房」を選択していただけで。。。
「自動」とはなんぞや? と思って調べてみると。。。
「自動運転にすると設定温度に対して体感温度の補正を行うので、年間を通じて快適さを保ちながらさらに省エネ運転ができます」
とあります。
「自動」とは正確には冷暖自動というものだそう。
「運転中、ある室内温度を境に冷房運転⇔暖房運転が自動で切り換わります。
設定温度は変更できますが、運転内容が切り換わると設定温度も自動で変更します。
(室温を一定に保つ運転ではありません。)」
とあります。
例えば、自動冷房で27℃にセットするとして。。。
室内温度が25℃以下になると、設定温度が22℃に変更されて、送風運転に切り換わる。
これを自動暖房というそうで、更に室内温度が22℃以下になると暖房運転が始まる。
暖房→冷房の時も同様とのこと。
エアコン自体で無駄なく調節してくれるのですね。
これをAIというのか。。。昭和の時代ならファジー(Fuzzy)といっていたような気がしますが。
ネットで「ファジー」を調べてみると、コトバンクのサイトでは、
「人間の思考のあいまいさに枠組みを与えて推論・処理する」
ものだそう。
ファジーとは「ぼやけた」という意味合いで、どうやらはグラテーションのような概念。
わかりやすく言えば。。。
人工内耳のマッピングでも、最初に「聞こえない」「小さい」「やや小さい」「ちょうどいい」「やや大きい」「大きい」「大きすぎ」などの音量の大きさ合わせをやりますよね。
あのあいまいな感覚がグラテーションで、ようはあれと同じ。
人間の肌感覚のような曖昧さをエアコンが判断して、「寒すぎ」「寒い」「ちょっと寒い」「ちょうどいい」「やや暑い」「暑い」「暑すぎ」などの場合の調整を心掛けてくれる、というもの。。。今ではこれよりもっと細かく段階を増やしたものがあるようです。
正確には、温度や湿度のセンサー情報を、人間のグラテーション感覚に合わせてコンピューター制御する、それがエアコンを自動操作する、ということでしょう。
今では、これをAIと呼ぶ。。。のかな。
(自然言語処理での駆動も組み合わせて、声掛けでスイッチオンできる機能もある、ということでしょうか。)
エアコンの方はここまで、です。
やっと題名のマップ云々について書き始めます。
10月初頭の暑さがそこまででなければ、スムーズに話に入っていたと思うのですが。。。
もうここまでで文章が長すぎるので、『その2』は終了。
この項は『エアコン編』として、何年か後、エアコン操作を忘れてしまったときに見返せるよう、備忘録として残します。
マップが合わない時 その3
マップが合わない時 その3
同年同月掲載の『マップが合わない時 その2---エアコン編』で、エアコンの温度調節について記載しましたが、人工内耳もエアコン調節とよく似ています。
2024年6月掲載の『人工内耳と魚』項で、最後に、
「特殊形側線器の受容細胞は感覚毛がなくなり、いずれも電気受容器に分化している」
と、記していますが、人間の場合も内耳の感覚毛がなくなってしまうと、電気受容器への連絡を探索するしかないようです。
人工内耳は、内耳の感覚毛の代わりに、電気受容器を動かす神経補綴なのですね。
この電気受容器のダイナミックレンジは狭い。
そして、そのままでは急激なラウドネス増強となるようです。
電気刺激と音とのラウドネス増大の比較グラフを、2018年2月掲載の『人工内耳の成人適用基準 2017年』項の6ページ目に転載していますので、見てみてください。
電気刺激ってどのくらい急激なのか?
言葉でいうより体験してもらった方が。。。おもちゃ屋さんで、電気ショック遊具を買ってみてください。
触覚でさえ、ビリッと伝達が速いじゃないですか。
あの速さが電気刺激です。
人工内耳開発者達の書は、聴覚の電気刺激について、そのダイナミックレンジが狭いことを聴覚障害ゆえ。。。とは記していませんでした。
聴覚障害だから、ではなく、どうやら人間皆同じく狭いダイナミックレンジの電気受容器をもっているもようです。
聴覚器官のシステム、有毛細胞やシナプスなどのパーツが電気受容器の狭いダイナミックレンジでも聞き取れるように、潜時遅延や強度段階など工夫して聞こえの範囲を拡げていると解釈しています。
エアコンが設定を中心に、温度や湿度、風量、方向などをファジー調節しているように。。。
有毛細胞はいわゆるファジー機能だったのかぁ。。。人工内耳はこれをまねしなければならなかったのでしょうね。
人工内耳は機械ですから、工学的にみた反対側からの観点で、これを圧縮と呼んでいるようです。
神経学的には電気反応による聴覚検査などの説明に、圧縮/希薄と書いていたりしますが。。。これは中央値から見る観点でしょうか?
人工内耳装用者からの観点では、聞こえないところからみるのですから拡張か圧伸というところ。
でも、エアコンに設定温度が必要なように、人工内耳にも快適に聞こえる域の適正設定が必要。
特に、自動調整を取り入れるというのなら、やはり快適域の適正な設定が重要な筈。
バイオニクス社やメドエル社は、Mレベルを快適域とみなし、Tレベルは自動設定。
(おあしす注: MレベルをCレベルと書き間違えていました。上記は修正済みです。失礼致しました。設定については、2014年4月掲載の『人工内耳メーカー別のマッピング』項で説明していますので、そちらの方を見て頂けると幸いです。)
コクレア社は、TレベルとCレベル(或いはMAXの意味のMCレベル)を決定し、そのダイナミックレンジ内に快適値Mレベルが来るようにしているようす。
音声のダイナミックレンジをまかなえることは基本的に重要。
背景雑音にマスキングされてしまわないような圧伸も重要。
音楽を楽しめることも意外と生活には重要。
指向性も、コミュニケーションを考えたら重要。
人工内耳は初めて成功した神経補綴といわれています。
ですから、前例がなく、装用者の成果や声を聞きながら、こうした重要事項を確保する制御方式なる符号化法を考えつつ進歩してきたようです。
又、その間の集積回路テクノロジーの進歩も大きいもよう。
そして、インピーダンス測定など、マッピングの際に外部と内部の機器、器官の通信がバランス的に等価になっているか確認する補助的機能の進歩も大きい。
ネットの翻訳サイトでも数年前まではでたらめな翻訳文章になることが多く、人による訂正が必要と思っていましたが、今の翻訳は時間的にも内容的にもよくなっている。
(寧ろ、私など年を取るたびに段々。。。う~ん。)
AIの自然言語処理も以前と比べるとスムーズな会話になってきており、人間に近くなってきているという人もいる。
音声模倣も、社会問題になるくらい近似したものになっている模様ですし。。。
ですから、人工内耳の自動調整も以前と比べたらアップしているのではないかと思えています。
10年前には、テレメトリーや自覚的判断を中心としたマッピングについていろいろ記していましたが、テクノロジーはその頃から刻々進んできています。
自分で調節するほうが良いのか、オートでやってもらうほうが良いのか。。。マッピングにはそういうことも念頭に置いて、いろいろと試聴してみてください。
担当Drや担当ST、メーカーの方が、その際の一番の強力な協力者になるかと思います。
原理をしっかり知り、担当の方々を信頼して、何より自機に愛情と自信をもって、マップを最適にしていきましょう!
2.8.24
更新報告
2024年8月 更新報告
今年の春のこと、おあしすも関わる会合への出席や市民講座の人工内耳講演に行くなどあり、話者からの距離や音量、話者のマスク装用といったことにはまだまだ聞こえの不自由を感じる、と感じていました。
FM補聴機器は、こうした悩みに対処する一方法でもあります。
今回は、こうしたFM機器に使う指向性マイクについて記載しましたが、人工内耳の中には強い指向性が出せるようにマイク工夫がなされているものもあります。
各人工内耳のマイクにしても、或いは各無線利用のマイクにしても。。。どのようなものでどのように利用するのが最も有効なのか、特に指向性マイクのことはよく理解して使うことも、意外と大事なことでは、と思わされています。
今回はそれに関しての一筆です。
①新規; 『人工内耳と指向性マイク』項について、新規掲載しました。
人工内耳と指向性マイク
人工内耳と指向性マイク
人工内耳と無線利用の指向性マイクとの組合せで、ちょっとした体験をしたので、今回、忘れないように覚書きします。
初期の人工内耳の頃からですが、どのメーカーも人工内耳外部機には指向性を考慮したマイクを実装していたと思います。
デジタルマイクの進展で、その感度や調整が変わったかもしれませんが、いずれ前方からの聴取を大事にしているのは昔から変わらないこと。
耳掛けタイプの場合、指向性マイクは人工内耳の上部に乗っています。
ここで。。。バイオニクス社のちょっと変わったマイクのことを記します。
バイオニクス社の場合、上部に乗る指向性マイクを使うのではなく、耳にかけるフックに付くマイク、Tマイクと呼びますが、これを使う設定に変えることができます。
このマイクは自然な耳介の指向性を利用する為、フック先端が耳介横に位置するようになっています。
耳介の横に来るという特徴がある為、電話の受話器でも、聴診器のチューブでも、ヘッドホンでも、普通に使うようにそのマイクに被せて使うことができます。
(今のTマイクⅡではなく、その前のTマイクの時のことですが、Tマイクのおかげで聴診器も特殊な聴診器は必要なく、チェストピースのつくチューブをマイクにつなげるだけで聞こえていました。)
このTマイクに、補聴器耳栓用チューブを使って受信器のロジャーフォーカスを接続し、指向性マイクがある送信器から音を飛ばして無線補聴をしてみました。
状態としては、このマイクを強力な指向性マイクに変えたようなものです。
家の中のような静かな環境では、使用しているテレビではリモコン音量16~20くらいが健聴の耳で通常に聞くテレビ音量という感じ、との感想を前もってもらいました。
健聴の耳では、リモコン音量3まで下げると全く聞こえず、リモコン音量4にしてテレビ近くで聞いてやっと音が鳴っているかなと分かる程度、とのこと。
無線送信器の指向性マイクをテレビにケーブル接続しない、テレビのそばに置く、という条件で、Tマイクにくっつけた受信器フォーカスに飛ばした音の感想は、というと。。。
テレビのリモコン音量1でも、やや小さめですが何か言っているというのは聞こえるのです。
リモコン音量4なんて、ラウドネス音量でいえば60dBくらいの音感覚で聞こえます。
健聴耳をテレビに近付けて聞いてもらったところ、話している内容がしっかり分かると判断したのが、少しずつ音量を上げてリモコン音量10になったところででした。
これがおそらく健聴者にとっては、40dB前後の音量というところでしょうか。
同じ音がロジャーフォーカスを通した人工内耳では、もう60dBはゆうに超える音感覚で聞こえているのです。
音量に限っていえば、普通の会話音量くらいには聞こえているのです。
それだけなら良かったのですが、ビックリさせられた点が。。。
実は、健聴者には聞こえていなかったリモコン音量1でテレビを聴いている時のこと。
健聴との比較の為にテレビに耳を近付けて音を聞いてくれていた人が、立ち上がって隣室に向かいとことこ歩いていったのですが。。。
なんと、普通にスリッパを履いて木材床を歩いているその足音がめちゃくちゃ大きい、ビックリするほどの音量です。
大きい上に割れて聞こえるので、目で見ていなければ何の音か分からないくらいの音量+音質です。
(送信機は音量調整のないタイプのものです。受信器には音量調整機能はありますが、音量を下げてもある程度大きな音量です。ここでは標準設定で使用した感想ですが。)
あまりにビックリしたもので、ふと思い付いて。。。
テレビのある同じ部屋で、送信器マイクをテレビそばに置いたまま、テレビの横側の離れに置かれた電子ピアノを弾いてもらいました。
指向性マイクでも、テレビのリモコン音量4では大きく鳴っている電子ピアノの音の方が回り込んできて、テレビの音をマスキングしてしまう、しかもピアノの音が実際よりかなり大きく聞こえます。
テレビのリモコン音量を10くらいにすると、テレビがしっかり聞こえて、電子ピアノの音がほぼ聞こえない。
ここで送信器マイクの指向性を解いて、送信器マイクの設定を全指向性に切り替えると、テレビそばにマイクを置いているのに、ビアノの音もテレビの音も共に同じくらいに聞こえてきます。
その状態でリモコン音量16に上げると、全指向性でもテレビの方が近いせいか、受信器には鳴っているピアノの音がほどんど聞こえず、テレビ音優先です。
同じく全指向性にしたまま、テレビのリモコン音量6くらいに小さくすると、時にはテレビ聴取に向かう、時にはピアノ聴取に向かう、と音が目移りならぬ聞き移りして、あれこれ変わるのです。
これはちょっと聞きづらい、というか、聞こえが何だか訳が分からず脳が付いていけない。
指向性は固定の方が良い。
再び、指向性に切り替えると、ピアノの音は小さくなり、テレビの音量がよく入ります。
電子ピアノを弾くのを止めて、マイクをテレビそばに置いたまま健聴の人がテレビをみる時の音量20くらいで聞いてみると、アレッ? リモコン音量10で聞くのと同じ大きさ。
もっと音量を上げて大音量の50くらいまでにしても同じ大きさ。
そうなんです、別にリモコン音量が10だろうが、20だろうが、30だろうが、40だろうが、周りの人にはどんどん大きくなり我慢できない音量でも、受信器を通して聞く音には同じ音量感覚で変化しないのです。
クリッピングがかかる聞こえではなく、テレビ音量が音量10くらいに設定されたまま変わらない感じの聞こえなのです。
受信器フォーカスを繋いでいるチューブをTマイクから外すと、Tマイクに鳴っているテレビ音が入ってくるので、音量が上がっているのが分かるのですが、Tマイクに被せてしまうと人工内耳にある他のマイクは使っていない状態なので、音量を上げても実際の音量が上がっているのが全く分からない。
(反面、これは装用者にとっては耳の保護にもなる良い利点とも思います。子供さんなどが使用している場合にも、周りの人が音量のことで耳を心配せずとも良いわけですから。)
そうであれば、と、テレビそばにあった指向性マイクを健聴者がテレビを見る3メートルくらいに離してみました。
テレビ音量20くらいで聞いてみると、音量はテレビそばに置くのとそれほど変わらず、しかし、音質があまり良くない。
(音質は、送信マイクの設定を話者モードに変えて、テレビから50cm位の距離に置く、というのが目下は良い聞こえかも、と思います。そうでなければ、テレビからの距離を1メートル未満くらいにして、人工内耳で直に聞く方がまだ良い聞こえかも、と。
ケーブルにつないで人工内耳に直にストリームさせる方法は、音量的には安定しているのですが、音質的には、私には上記の聞き方で聞くよりも分かりにくいという感じです。クリッピングかな? 理由がよくわからないのですが。。。)
(おあしす注: 上記のテレビからのストリームについて、の追記です。
テレビからのストリームの音声受信問題、理由が分かりました。
テレビにケーブルでつないだ送信機用ドッキング機器に音量調整ボタンがついていることが当初は分からず、送信音量が最大になっていました。
調整ボタンがドッキングの色に溶け込んでいる為、一見するとドッキング機器には送信機差込口とケーブル類差込み以外、何もないように見えるので。
送信機はロジャーオン。
そのドッキング機器はテレビ音声を受信機にストリームさせる他、充電器の役割も果たしています。
送信機自体には音量調整がないのですが、テレビ音声をストリームさせるドッキング機器には機器と同色の音量調整ボタンが側面についてあり、それで送信音量を調整できるようになっていました。
受信機はロジャーフォーカス。
「人工内耳に直にストリームさせる方法」と書いていましたが、正確に言うと。。。
送信機のマイクでテレビ音声を拾うのではなく、テレビと送信機をケーブルでつないで、人工内耳のマイクにチューブ接着した受信機フォーカスでテレビ放送を聞く方法、です。
当初、ドッキング機器の音量調整ボタンに気付かず、大きな音量で送信していた為、人工内耳機器か受信器の方で音量制限されてしまったようです。
だから、クリッピングに似た聞こえになっていたのですね。
音量調整ボタンで適正音量に直すと、聴取が大幅にアップしました。
送信マイクの設定を話者モードに変えてテレビから50cm位の距離に置く、テレビからの距離を1メートル未満くらいにして人工内耳で直に聞く、などと別の聞き方を記していましたが、そのような方法よりもドッキング機器からストリームして聞く方がずっと分かり易い聞こえです。
こちらの扱い方の問題で、誤った感想を記してしまい。。。申し訳ありません。
発売元のフォナック社にも、大変失礼致しました。)
こうして分かることは、指向性マイクは静かな環境ほど増幅が大きい。
音量は25dBくらいの増幅幅がある、グーンと大きくなった感覚で聞こえるのですから。
ただ、問題点は、静かな環境で指向性マイクを使って小さな音を聞いている時に、その近くで60dBくらいの音が鳴ったり、或いは大きな声で話しかけられると、それらが大きな音になりすぎる。
体感80~85dBぐらいに聞こえるのですよ。
人の声などマイクがかって聞こえるという感じでしょうか。
反面、指向性マイクはうるさい環境にいるほど増幅が小さい。
環境適応制御がされているのでしょうね。
そういう環境では、聞きたい音がリモコン音量1でのように小さすぎるとマスキングされてしまうのですが、聞きたい音の音量もそれなりにあると、10dBくらいの増幅になっているのかなという感じです。
マスキングされて聞こえない部分もあるけれど、指向性マイクが拾う音は周りの音に比べてちょっと大きく聞こえる。
60dBの聞きたい音が体感的には70dB前後に聴こえている感じでしょうか。
雑音がある環境では、指向性マイクで聞きたい音声が聞きやすくなり、助かるわけです。
つまり、環境音によって、あるいは指向性マイクの設定によって、増幅幅が違ってくるのです。
この場合は、ロジャーの送受信を通常の人工内耳装用者とは違う方法で体験しましたから、他の装用者の方とは何か違う可能性はありますが。。。原理的には人工内耳の指向性マイク設定も同じではないでしょうか。
となると、静かなところで強い指向性をかけるマイク設定で使う、或いは超低音を聞くのに指向性を使う、という時には気を付けないといけないかもしれません。
静かな環境だからとか、耳に悪いかもしれないから、と聴取する音量20~30dBの超低音量で聞くというのは、実際にはかなり増幅した音量で聞いているということになるのでは。。。健聴者とは聞こえ方が違うのです。
いずれにしても、ロジャー送受信システムはとても有用で、上手に使いこなしてほしいと思っています。
ただ、いかに有用で素晴らしい商品でも、こうした原理は装用者のQOLの為にもきちんと伝えてほしい。
指向性マイクを使う、或いは環境適応制御を使う全てのメーカーさんに、使用にあたっての説明してほしい点だと思うのですが。。。
手動で、或いは環境適応で強い指向性マイクプログラムや、オプションの無線マイクを使ってみた他の装用者の方々、そうした時の感想はどうだったのでしょうか。