人工内耳とコラッツ予想
先月の9月4日のこと、面白いニュースがネットに上がっていました。
『数学者も恐れる「ハマると病む難問」解けたら1億円、企業が懸賞金』
「どんな正の整数も、偶数なら2で割り、奇数なら3倍にして1を足す。この操作を繰り返せば、必ず最後は1になるだろう。」
とあり、何らか任意の数字を、
*偶数―――>(÷2)
*奇数―――>(×3+1)
という決まりを守って繰り返し続けると、最後は、
【4-2-1】
という数字ルートになる、こうしてどんな正の整数も1にたどり着く、というもの。
「この問題を解決するためには、以下の二つを示せばいいことがわかっている。」
【1】操作をした時に、〇――>△――>◇――>☆――>〇のように最初の数に戻ってしまう循環パターンがないこと。
(ただし、1-4-2-1を除く)
【2】操作をした時に、数がどんどん大きくなってしまう発散をしないこと
もっと詳しい内容は、Wikipedia などで調べてみてください。
単純な数学問題ではなく目的のあるアルゴリズム問題なのかな、と思いながらやっていたのですが。。。
はて、コラッツ氏は何を目的にこの問題を考えたのでしょう。
整数には奇数、偶数の2種類があり、奇数の整数はそのままではいくら半減しても1にはならない。
どうして『1』に収束させるアイデアを考えたのでしょう。
全ての正の整数を「1」に収束させるとするだけなら、
『奇数は(+1)、偶数は(÷2)を繰り返す』
というだけで成り立ちます。
どうして『奇数なら3倍にして1を足す』というややこしいことを考えたのでしょう。
想像ですが、コラッツ氏は。。。
任意の正の整数nをとった時、そのnに最接近する奇数及び偶数、その両者間の比率が最小となるような整数を求めたかったのではないでしょうか。
nに対するそのような整数が重複することなく循環パターンを持たないで『1』に収束してほしい。
相対する偶数である累乗的数値に最小近似となる数値があるなら、そのステップを追いつつ収束化を目指していたということなのでしょうか。
『27』などは最大9232まで増加し、それでもまだ増減を繰り返す111ステップを経て『1』に収まるようです。
nに対するそのような整数が奇数値も偶数値も代弁するような特性を持ち、それが循環することなく『1』に収束していく。
それには、奇数にも偶数にも通用する最適化アルゴリズムが必要となる筈で、コラッツ氏はそれを、
『奇数を(3n+1)、偶数を(÷2)』
と予想したということなのでしょうか。
そういう目的があるという前提で、nが奇数値・偶数値のどちらも共通の計算が可能なように、コラッツ氏の提起式、
『奇数を(3n+1)、偶数を(÷2)』
を考えてみました。
*奇数は(3n+1)で偶数となり、次に(÷2)されることになるので、初めから全ての数に共通の定数として、
『2』
を掛けることにします。
『2(3n+1)=(6n+2)』
*(6n+2)の計算後、『1』に収束して行く最適化アルゴリズムの計算は、
『÷2』
奇数・偶数を別に分けて考えると、結局はコラッツ氏の問題式、
『奇数を(3n+1)、偶数を(÷2)』
に戻ります。
<Collatz Conjecture>
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コラッツ予想の式の3nで相対させる偶数と奇数の比率は、「3×3」が「15」を経て「16」になる比率「1.777…」が最高値です。
「3×3」→「60」 比率6.666…
「60」→「15」 比率0.5^2=0.25
「15」→「16」 比率1.0666…
全てを掛け合わせて計算、
(60/9)×(15/60)×(16/15)=1.777…
「3×3」→「16」になる比率は「1.777…」
図にあるように、この累乗的偶数との相対比率は数値が増加するほど縮小していきます。
(「3」より小さい奇数は「1」のみですが、この「1」でさえ、「4÷(3×1)=1.333…」で「3」での比率より小さい。)
3nとそれに相対する累乗的偶数の比率は必ず「1」以上であり、その最大でも追加して足す「1」より小さな範囲内でしか変動しない。
ですから一方的な発散は起こり得ず、3nに足す数字は『1』あればどんな数値にも十分用足りるといえそうです。
又、どんな奇数も「1」足すことで累乗的数値の偶数に組み込まれるのですから、いずれ収束して行くことも伺えます。
もう一つの問題は、循環パターンがないかどうかですが。。。
正の整数nはどんなに頑張って大きな数値にしても、累乗的数値との比率は限りなく「1」に近づくだけで比率「1」にはなれない。
大きな数値になるほど比率が狭まって数値の独自性は高まっていくので、「1」への収束ルートに重なる数値が出るとは思えない。
違う比率になることを求めてルートが定まっていくので、繰り返すような循環パターンが生まれるとは思えない。
数値が低いのにステップが111と多い「27」の場合を考えると。。。
「27」が「1」に収束するまで「41」ステップの(6n+2)と「111」ステップの累乗的半減(=0.5^111)があります。
(6n+2)計算をする「41」ステップのそれぞれの「(6n+2)/n」比率を全てかけ合わせた計算をしてみると、
「96,153,645,528,422,712,259,915,237,891,165.597153136497…」
この結果に「27」を掛けると、通常の計算機では、
「2,596,148,429,267,413,814,265,248,164,610,048」。
これは、「27」と同じステップの累乗的偶数「2^111= 2,596,148,429,267,413,814,265,248,164,610,048」に相当です。
「111」ステップの累乗的半減(=0.5^111)を掛けると、「1」に収束します。
2,596,148,429,267,413,814,265,248,164,610,048 × 0.5^111 = 1
「1」への収束経過が分かりやすいように、
(6n+2)÷2=(3n+1)
のコラッツ予想式に戻し、そこに含まれている「41」ステップ分の(0.5^41)を引いて、
(0.5^111-41)=(0.5^70)
で計算してみます。
「41」ステップの(3×n+1)と「70」ステップの累乗的半減(0.5^70)では、以下の通り。
(82/27)*(124/41)*(94/31)*(142/47)*(214/71)*(322/107)*(484/161)*(364/121)*(274/91)*(412/137)
*(310/103)*(466/155)*(700/233)*(526/175)*(790/263)*(1186/395)*(1780/593)*(1336/445)*(502/167)
*(754/251)*(1132/377)*(850/283)*(1276/425)*(958/319)*(1438/479)*(2158/719)*(3238/1079)*(4858/1619)
*(7288/2429)*(2734/911)*(4102/1367)*(6154/2051)*(9232/3077)*(1732/577)*(1300/433)*(976/325)
*(184/61)*(70/23)*(106/35)*(160/53)*(16/5) × 0.5^70 = 0.037037037…
この結果に「27」を掛け合わせると、収束する「1」。
(0.037037037…)×27=1
「27」に限らず、他の数字で検証してみても同じ結果となります。
よって、『コラッツ氏の予想は正しい』というのが取り組んでみての所感です。
このコラッツ予想はコンピューター演算により、かなり大きな数値まで検証されているようです。
おそらく正論だろうとされているそうですが、それでもまだ『正論』と断言されていないのだとか。
『正論』の数論と思っていたものでも、理解不能なアレッ?という現象が起こり得る可能性はあるからなのでしょうか。
おそらく専門家の考えるあたりは、何かがもっと違って、何かがもっと深いのだろうと。。。
ところで。。。今更なのですが、どうして題名が『人工内耳とコラッツ予想』なのかについて、です。
このコラッツ予想の懸賞金をかけたのは、音響のウェブカンパニーと聞いています。
カンパニーの代表もその昔取り組んだことがあって、解明を進めることで数学に貢献したいのだとか。
その心意気に感謝です。
このコラッツ予想の応用は、音響はじめいろいろとあるような気がしています。
もしかすると、新しい最適化アルゴリズムの発展に寄与して、人工内耳のコード化や音声変換にも関わることになるかもしれませんし。
そう考えると、このコラッツ予想のようなアルゴリズムは数論究明で終わるのではなく、実世界の技術に役立ってほしいと思えています。
そして、そういう夢があった方が未来での数学者、工学者、技術者などになる学生さんたちも意欲的に取り組めるのではないでしょうか。
目的はいつも技術発展の良い羅針盤になってきた筈ですから。
実際、これまで開発されてきた人工内耳のコード化法には、それを支える最適化アルゴリズムを進めた影武者達が貢献してきました。
音声を自動利得調整(AGC)する最適化のアルゴリズムとして、私の調べていた時期だけでも、
バイオニクス社は「ハーモニー」で『Cambridgeデュアルループ』によるAGCを、
メドエル社は「オープス」で『ヒルベルト変換』によるAGCを、
コクレア社は「フリーダム」や「N5」でビーム、ささやき、ADROなど4種に分けたAGCをとっていたようですし。
一人の人が同じ耳に複数の人工内耳をトライできないのですから、どれが良いのかはわかりません。
ただ、感触としては、高度~重度難聴となった聞こえを改善させるAGCとして、人工内耳の最適化はけっこう優れているということです。
これが補聴器での聞こえでは不自由が大きくて悩んでいる方、人工内耳が聞こえを引き上げるのに役立つ方には勧めたくなる根本になっています。
上記記載のAGCについては2012年前後のことです。
その次の世代、それぞれのメーカーについての次世代機種ですが、それが出回り始めた頃から高度デジタル化がグッと進んだという印象がありました。
ハード面・ソフト面両方からデジタル色が強くなった、と思うことが多くなったからです。
不使用時の外部機保管方法がシリカゲル投入容器から電気乾燥機に変化したのもこの頃で、精密化する電子機器の管理特徴です。
ACG技術の方も変化し、今ではオプション的にいろいろな機能が付けられるようになっています。
人工内耳の最適化AGC技術がもっと発展することで、もしかするとシンプルな難聴医療が可能になるのかも。。。
もっと少ない電極で、
もっと簡易な手術で、
もっと幅広い難聴者で、
もっと手頃な価格で、
提供できるような将来になるのではないか、なってほしいという期待を個人的には持っています。
今までの進歩も驚くほどスゴイ、聴覚治療はものすごく変わったと思います。
調整技師さん、臨床医さん、技術者さん、工学者さん、そして数学者さん、今の進歩に関わった多くの方々に感謝しています。
それでも、やっぱり更なる希望をいろいろな分野の方々に望んでしまいます。
いつか、難聴はそれほど大きな障害と思えない将来になれば、と。
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