人工内耳とiPhone
先月の9月15日のこと、Apple社の恒例プレゼンテーションのニュースが流れていました。
そこで紹介されたiPhone、iPad、Watchなどが、アップルストアのサイトで見れるようになっています。
発表とほぼ同じ頃、ITmedia Mobile社(日本)のサイトで、同社の20周年特別企画として、
『初代「iPhone」から「iPhone12」まで歴代iPhoneを撮り比べ 14年間でどれだけ進化した?』
という記事も掲載されていました。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgAmxr1vxfrasdMfem1ms-gOcAPxbK6OC38M_X9yowMKOEPU0Kc3e1xYUfBUtkFTdjnit5IKu-tG432__CTEZqF4f255UBSaG6uClXt9wwnd_RgJqzzWL5yJUYuM2nsKCkIus0CFP6F5aA/w400-h300/iPhone%25E9%259B%25BB%25E8%25A9%25B13.PNG)
主にカメラ性能を取り上げての記事でしたが、Appleサイトの最新機のデモを見ながらそれを読むと面白い。
カメラにおける技術的進歩が非常によくわかる。
この記事の記者さん、要点をよくついてわかりやすい解説をしてくれています。
目下、最新のiPhoneのカメラは3つ装備。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh_JAHBpgsVjjQtVYwoK9bWFqkF2yZnD48ZBRU5rC2Ib_bAPOnsBFkKWuovqKC46DXA3Varl_2wXPWNx6hoYzkW6rpnO2CV7Jnt6OOzTL8bL8L9bSB1lb_Wr0N6Ejp6viXwYlOleAPvt1M/s320/iPhone%25E9%259B%25BB%25E8%25A9%25B12.PNG)
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgZBLTdzcIwLmS-CIUAF3RT7TsqTjQjrOKtmkyXVk-uEH88_c92QlyUsEJ9S76_rGJiIaSlKwqF5yigeSoY8dCLDUphEedfvs9chlmln-lUG2izHkB-rX53498ZojT4EyQcAB5muGCMI-I/s320/iPhone%25E9%259B%25BB%25E8%25A9%25B14.PNG)
一つは広角カメラ、更に幅広く映す超広角カメラ、そして取りたいものを焦点付けて細やかに移すズームカメラ、とのこと。
写真を撮ると、その3つのカメラ画像が組み合わされ、焦点がクッキリハッキリ、背景が少しぼんやりがかった感じとなる。
それで見た目の美しいHDRの高品質写真ができあがるそうです。
マイクの組み合わせについても、要は同じ効果なんでしょうね。
そのスマホ、カメラ機能があることは便利、ネットが使えることも便利。
どれも間違いなく便利なのですが、本来は電話機の筈。
肝心の、メインであるはずの電話機能はどのような進歩があったのでしょう。
聴覚障害者であっても、やはりそこも気になる部分。
そこで、今回は新発表されたことを契機に、スマホの電話機能についてまとめてみました。
聴覚障害者、補聴器装用者の電話活用は、残存する生体機能によるところが大きい。
電話には不自由がない方から音量調整で電話可能、音質調整で電話可能、部分的に聞き取れる、正確性に自信がないという方まで広い幅があります。
最新iPhoneに関しては、同じIT機器に分類される人工内耳装用者での使用を中心に書いた方が共通して読める部分が多いかも、と思えています。
そこで題名を『人工内耳とiPhone』とさせて貰っています。
ついでの転載なのですが。。。騒音なしの状況と騒音ありの状況でのイヤホン使用について。
東京都の生活文化スポーツ局が昨年まとめたイヤホンで聴取している健聴者が快適と感じる聴取音量についてまとめてくれています。
騒音なしの場合と騒音ありの場合とで調査した結果から。。。快適閾が騒音によって10㏈ほど大きくずれているのがわかるでしょう。
iPhoneの方ですが、Appleサイトに掲載されている最新情報を読めば、マイクが2つ使われているのがわかると思います。
(iPhone5くらいの頃はマイクが3つ使われていた?)
場所は何処にあるかというと、一つはスマホを当てた時に口元に近くなるようにスマホ正面の下部。
もう一つのマイクは、スマホを当てた時の耳元近くになるようなスマホ裏面の上部。
この2つのマイクは同じ役目を果たしているのではなく、正面下部にある方は送信すべき音声を拾うためのもの。
裏面上部にある方は周囲の環境音を集音するマイクだそうです。
この裏面上部の方は、スマホから音声聴取する時には邪魔にならないよう雑音抑制する機能に貢献しています。
固定電話や随分以前のスマホと比べて、背景音が薄らいで電話通話が聞き取りやすくなっていると思いませんか?
このスマホから流れるスピーカー音量についてですが、メーカーによる違いなど詳しいところまで判りませんが、と前置きを置いて。。。
iPhoneの聴取ダイナミックレンジは48dB設定になっているそうです。
ボリュームを最大に引き上げたとしても、流通可能な音量は上限100dB前後になっているのではないでしょうか。
電話通話はダイナミックレンジとしては、おそらくそのうちの40、50dBから70dB前後までを使っているように思います。
裏面の集音マイクを利用した雑音抑制機能のおかげで騒音下でも電話会話がキープできるようになっていますから。
スマホからストリームして音楽聴取の場合は音楽の種類にもよりますが、会話ダイナミックレンジよりも当然ダイナミックレンジ幅が広くなります。
現在の機器やストリームの圧縮設定では、最大音量でも歪み少なく鳴らすことが可能になっていたりするかもしれません。
となると、40dB前後~90dB以上といったダイナミックレンジでも聴きごたえがある音楽を鳴らせるのでしょう。
ただ、それをスピーカーではなくイヤホンで耳に長い時間流すと、耳への結構影響は大きいと思います。
音楽に惹かれて、うっかり大きな音量で聞き過ぎないように、特にイヤホンを使って聴取される方は各自で『イヤホン難聴』には十分気を付けてください。
『イヤホン難聴』については、医療機関やグローバルな健康保健機関がネットでも詳しく言及してくれています。
そこで、前述の「騒音下の聴取」を除いては、ここでは記述いたしません。
ここではiPhoneの聴覚機能情報を記録しておきたいと思っています。
何しろ、いろいろな機能がつけられすぎていて、聴覚機能に限ったとしてもきちんとまとめておかないといつしかわからなくなってしまうので。。。
まず、Apple独自の『マーク』のうち、聴覚に関している『マーク』の記録から。
新しく追加になったものも、過去のiPhoneにもつけられているものもあります。
そもそもAppleのIT機器の特徴は、視覚的マークが意味明確で使用解説がいらない、シンプルで初めてでもわかりやすかったこと。
開発当初はそれが目玉で、故に多数のユーザーをつかんできたのですが、最近は。。。
今までは解説文章で読まなくても視覚的マークで意味が分かっていたのですが、今や反対。
視覚的マークの意味を理解するために、文章解説を読まなくてはいけなくなっています。
耳の形をしたマークなんぞは音量関係だけかと思っていたら、ちょっと違う。。。
間違って解釈しないように、しっかり解説を読むしかないですね。
聴覚に関するマークは以下の通り。
iPhoneを動かす最新のオペレーションシステムは「iOS15」。
2021年9月21日にグレードアップ開始され、そろそろ利用者から使用心地のレビューがネットで流れてくることでしょう。
今回は自動アップグレードと手動アップグレードの両方が表示され、どちらか選択することが出来るようです。
もちろん、アップグレードを選択せず、以前のiOSを使い続けるという選択も可能です。
当サイトでは今後多くなっていくだろうことを考えて、アップグレードした「iOS15の場合」を中心に書いています。
アップグレードを選択していないケースも多くいることを考えて、「iOS14」からの引用もところどころで記しています。
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『iOS15』の場合
<ヘッドホン音量調整機能>
ヘッドホン使用してストリーム聴取する際の音量が数字で表示され、調整レベルが容易に確認できる機能です。
コントロールセンターにある「聴覚」をタップしてください。
iPhoneからストリームしてヘッドホンで聞く音の音量がdB単位で表示されます。
快適閾に機器設定の音量中央値が近づくようにされますが、たいてい自分で好みの音量へと調整していると思います。
人工内耳や補聴器の方がその上からヘッドホンをかぶせて利用しても、その調整方法は同じです。
「made for iPhone」の場合は、AirPodsイヤホンと同じような利用ができる(その補聴器装用者に限り)と考えてよい模様。
(「made for iPhone」補聴の場合については、ここではなく別項『スマホ連携補聴器―iPhone』にあげています。)
<ヘッドホン音量制限機能>
ヘッドホン使用してストリーム聴取する際の音量が大きくなりすぎないよう、決めた音量に制限できる機能です。
「設定」の「サウンドと触覚」或いは「サウンド」をタップすると、「ヘッドホンの安全性」というページになります。
そこにある「大きな音を抑える」で例えば80dBと設定しておくと、iPhoneがそれに合わせて80dBまでに抑制してくれるそうです。
<ヘッドホン音量変動チェック機能>
ヘッドホン使用して現在聞いている音量の変動する様子をグラフで表示してくれる機能です。
「設定」の中にある「ヘルスケア」アプリを開き、「聴覚」をタップすることで利用できます。
グラフに表示される期間も選定でき、「1日の平均」や「暴露」データを見ることもできます。
人工内耳や補聴器をしている人は、どうしても健聴者と比べて大きめの音量になりがちで、ある程度は仕方がないと思えています。
補聴機器の方でも既に個々に合わせた音量設定がされているのですから、大きすぎる音量はかえって聞きづらくなることに注意してください。
又、無理して聞くと聴神経を疲れさせることにもつながります。
*「iOS14」音量変動チェックサンプル
<ヘッドホン暴露通知機能>
ヘッドホン使用で聴覚に影響する可能性がある音量暴露がある場合、「ヘルスケア」アプリを通して通知警告してくれる機能です。
「サウンドと触覚」或いは「サウンド」の「ヘッドホンの安全性」内の「ヘッドホン通知」をオンにしておくこと。
「ヘルスケア」内にある「ブラウズ」をタップ後、「聴覚」内の「ヘッドホン通知」をタップすると、その通知詳細が表示されるとのこと。
iOS14からの情報を転載します。
<ヘッドホン向け集音マイク機能>
ヘッドホン使用で聞きたい音を聴きとれるよう、iPhone自体がマイクとなって集音する機能です。
iPhoneのマイクから集音した音の聴取は「ライブリスニング」と呼称されるようです。
画面の右上から指を下方へ滑らせて出てくるコントロールセンターの中の耳マークをタップ。
ない場合は「設定」の「コントロールセンター」をタップして、聴覚(耳マーク)を表示されるように選択してください。
「ヘッドホン音量」表示の下に「ライブリスニング」の表示が出現します。
「ライブリスニング」をオンにすると、iPhoneマイクで拾った音をストリームするとのこと。
それに代わって、「ヘッドホン音量」表示はなくなるのが通常だそう。
そのiPhoneマイクも普通のマイクと同じく、雑音下では装備マイク部が聞き取りたい音源に近いほど綺麗に音を拾いやすいとのこと。
人工内耳装用者でいう、オプションの無線通信マイクの代わりになるのでしょうか?
それをiPhoneがそれをするようになったものと考えてよいのなら、人工内耳機器の無線マイクと似たような使い方、似たような音質なのかもしれません。
人工内耳やペアリング補聴器の装用者からも、そうした使用感想を待ちたいところです。
<ヘッドホン音質調整機能>
ヘッドホン使用で聞く音を自分の感覚に合わせた周波数調整ができる機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「オーディオ/ビジュアル」を選択する。
そこの「ヘッドフォン調整」をオンにして「カスタムオーディオ設定」をタップ。
オージオグラムデータを使うこともできるようです。
<iPhoneのスピーカー調整機能>
iPhoneからの聞こえを、モノラル・ステレオ、左右のバランス、電話中のノイズキャンセリングなどといった調整機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「オーディオ/ビジュアル」を選択する。
<iPhoneのサウンド認識機能>
赤ちゃんの泣き声、ドアベルなどiPhoneが通知してほしい音を設定できる機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「サウンド認識」をオンにする。
*「iOS14」サウンド認識設定のサウンドサンプル
(写真17)
<iPhoneのバックグランド機能>
落ち着くと感じる背景音を故意に入れて、不要な音を覆い隠す機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「オーディオ/ビジュアル」を選択する。
そこの「バックグランドサウンド」を選択してオンにする。
<iPhoneの字幕表示機能>
字幕が利用できる設定のビデオなどに字幕を表示させる機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「標準字幕とバリアフリー字幕」を選択する。
<iPhoneのLED点滅通知機能>
iPhoneがロックされている時、電話着信やその他の通知をLED点滅で知らせてくれる機能です。
「設定」から「アクセシビリティ」を選び、そこの「オーディオ/ビジュアル」を選択する。
そこの「LEDフラッシュ通知をオンにする。
<iPhoneのバイブレーション機能>
iPhoneがロックされている時、電話着信やその他の通知を振動などで知らせてくれる機能です。
「設定」の「サウンドと触覚」或いは「サウンド」をタップして、「着信音と通知音」の下の設定を行います。
<iPhoneでのRTT・TTY使用機能>
iPhoneで入力した文字を通信相手に文字で表示(TTY)、入力文字を音声に変換(RTT)できる機能です。
この機能は、おそらく日本では通信事業者が扱っていないのではないかと思います。
TTYは今はもう誰もが「メッセージ」などのSNSを使っています。
RTTはリアルタイムの音声変換ですが、SNSの方がむしろ皆に好まれているのではないでしょうか。
でも、日本でも実装される将来が来るかもしれませんから、こういう機能がiPhoneにあるとだけでも記録です。
<iPhoneの注意事項>
聴覚に関しては、大音量で長時間使用による聴覚損傷が警告されています。
他には、高周波暴露・干渉についての注意事項、これは初期の頃の人工内耳の方の提起話題として挙がっていました。
最近では解消されてきたためか、もう問題にされなくなっています。
ただ、今後も多くのスマホ、多くの無線イヤホンやペアリング補聴機器の装用者が増えてくることで少しばかり懸念もあります。
ペアリング無線は個別対応の筈で問題はないと思うのですが、近年の無線能力は私の想像を超えているので。。。
開発者やメーカーには末端使用者に対する責任として、巷の無線利用には何らの問題は起こらないのか説明してほしいものです。
又、お互いのプライバシーや電波関係に関わるマナーに関しても、きちんとしていく必要があるかもしれません。
音源や誰かに向ける集音マイクとして、iPhoneマイクや無線マイク(聴覚障害関係のオプションマイクであっても)を使う時などは特に。
マイクを向ける人に対してはマイク使用が見えるようにする、見えないときはマイク使用することをきちんと伝える。
イヤホンやヘッドホンを使用しないときは、スマホの設定でBluetoothをオフにするように心がける。
そのくらいの注意は社会のマナーとしてお互いに必要になっていくのではないかと思えています。
以上、人工内耳や補聴器装用者などに関係してくる聴覚関係機能とiPhone(Androidも同じような傾向)についてまとめてみました。
別項の『スマホ連携補聴器―iPhone』では、iPhoneで調整できる連携補聴器についてまとめています。