2.12.23

人工内耳装用の成人・小児

 人工内耳装用の成人・小児



人工内耳の調整方法は、その最初から成人と小児では変わってきます。

特に、反応を自己申告できない乳幼児では、別カテゴリーにできるほど違ってきます。

手術中のチェックで反応があった閾値に対する考え方からして、マッピングに反映させる手技が変わってくるのです。

当初の刺激への嫌悪や恐怖の情が沸かないように、という理由もですが、寧ろ神経の可塑性、伸展への期待、といった理由からの方が大きいかもしれません。

耳の聴器や細胞の障害の為に利用阻害されていた神経が、人工内耳で刺激を与えているうちにいつしか伸長し反応することも望めるのでしょう。


その効用を垣間見た感じがしたのが、今回、人工内耳をして数年たった多数の学童さんの様子からです。

乳幼児期に発話体得の訓練を受け、成長した子供達は普通に聞いて会話する学童達になっています。

それが事実。

勿論、聞き取りだけでは不自由することも少なからずあると思いますが、重度聴覚障害であったことを考慮すると、人工内耳はなんと大きな福音となっていることか。

音への気付きのみならず、会話が成立する、皆と同じように音環境を楽しむ、こうしたことが可能になっている事実は動かしようがありません。


聴こえない方でも幸せに人生を暮らしている方は多い。

耳からの聞こえだけで人生の質が変わるとは思いません。

聴覚が乏しいことが人生の優越に関わるわけではないと。

ただ、全世界的に重度の聴覚障害児は人工内耳によって聞こえを得るというのがスタンダードになってきている現在、事実上の全聾児が激減してきているのは本当です。

日本でもますますマイノリティーになってきているということなのです。

同じ立場の聾者を見つけるのが、若ければ若い程難しい世の中になっていく。

聾学校でも存続の心配をされていましたし、ずいぶん前から米国でも街の聾学校が閉鎖、通常学校の中の難聴学級になったりしています。


公園や喫茶店で、友人と談笑している成人の方の頭に目をやると、髪に半隠れした単体機やヘッドピースを見つけることも珍しくはありません(米国)。

駅のチケットカウンターやエレベーターの中でも遭遇したり、図書館やレストランのグループでも自然と見かけることがありました(豪国)。

成人の場合でもそうなのですから、小児ではなおさらです。


ですから、人工内耳が適応なら、将来を考えて手術されることをお勧めします。

気になるようでしたら、聾学校など人工内耳を装用されている児童さんの様子を見に行かれてください。

装用されている学童さんに人工内耳を受けてよかったかどうか聞いてみて下さい。

耳による困難は今後もあると思いますが、人工内耳が画期的な治療といわれる理由が会ってみれば見ればわかると思います。





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