1.2.23

人工内耳ニュース

 人工内耳ニュース



新型感染症で揺れに揺れたこの2~3年、特にリモートを決め込んでからですが、人工内耳のニュースもオンラインをチェックして得るという習慣がついてしまいました。


人工内耳メーカーの方も、ビジュアル媒体を通して新しい製品の紹介を行っていたり、目指す方向について意見を述べていたり。。。時間的にも距離的にも負担がかからない身近な形で方針などを発してくれるようになっています。

耳に障害がある人には有難い傾向といえるのかもしれないのですが、直に見て確認しながらであるのと理解度が違うかも、という経験もしています。


前年度、メドエル社の方の講演ビデオをYoutubeで見ていたのですが、その中で私には「エイズ」と言っているのではと思える部分があって、念のため、英語母語者に確認してもらったら、「エァイズ」と言っていると思う、とのこと。

どこまで正確なのか分からないPCの自動音声文字変換を、とりあえず使ってみると、「AIs」と出る。

う~ん。。。英語の聴取・発話は下手であることは自認済みなのですが。。。とかく耳に頼ってしまうと、ちょっとした聞き違いで違う話になってしまいます。

上記のことも「Aids」と「AIs」とではかなり違う解釈になってしまいますし。。。


メドエル社は残存聴力活用型のハイブリット機器を出しています。

(海外ではコクレア社もバイオニクス社も出しているのですが。)

その先入観があるので、メドエル社の講演者が話したのは{Aids]の筈、ハイブリット型の展望を述べているのではないかと解釈してしまったのですが、どうやらは人工内耳の調整にAI(機械による自動調整)を組み込んでいく展望を話している模様です。

人工内耳は環境認知も音声方向もAIが活躍する世界になっていくかもしれません。

この間違いで、YouTube講演の聴取に自信ガタ落ちしたこともあって、昨年度は掲載せず、触れることもしませんでした。


それでもその後まもなく、バイオニクス社の人工内耳新機種マーベル及びスカイの特徴やマッピングソフトTargetのマップもオンラインを通して聴取しました。

神経反応にどのように電流・電圧をマップ調整していくのか、自機がバイオニクス社であるせいもあって、バイオニクス社のマッピングソフトTargetは分かり易いと思えました。

と同時に、人工内耳装用者も補聴器装用者と同じように自分のオリジナル反応を知らせてもらう方が良いのでは?と思えました。

調整者からすると教えないのは善意からなのかもしれないのですが、補聴器装用者にオージオグラムが必要なように、人工内耳装用者も各自の反応閾値を知ることが必要で、それによって自分にあうマップ調整について理解しやすくなると思うのです。


補聴器装用者がオージオグラムをきちんと理解し、それに応じて調整されていくことに安心感を持つのと同様のことなのです。

人工内耳装用者も自分の神経閾値はどこにあり、どのような調整がそれに合っているのかと理解する方がマップの聞こえに自信が持てるのではないでしょうか。

以上は、バイオニクス社の講演を聞いた後の強い感想です。


今年に入ってからは、コクレア社の新機種N8のオンライン講演を聞いていました。

コクレア社の講演によると、ビックリ驚きの新しいテクノロジーが実装されています。

しかしながら、新しいことばかりではありません。

旧機器の時からあった機能の活用も出てきます。

使い方が新しくなっている。。。先のAI化にも通じることですが、機械による自動調整など新しい使い方も組み込まれるようになってきているのです。


N7には「フォワードフォーカス」というマイクの指向性を前方に絞る「ズーム」機能がついています。

N7では、うるさいところではマイクを前方話者の声に絞るために自分のアプリで「フォワードフォーカス」をオンにし、静かなところでは周りの声が普通に入ってくるように「フォワードフォーカス」をオフにしていたと思います。

これが環境雑音を読み取り、自動的にオンオフするようになった模様です。

それだけではなく、「フォワードフォーカス」でのマイク前方絞り具合も「ズーム」角度だけではなく、「ビーム」角度へも自動調整できるようになっているようです。

以前N5などでは指向性の切り替えは、手動で使われていましたね。

つまり、「フォワードフォーカス」機能は環境によって自動的にオンオフするようになり、そのマイクも前方指向性を「ズーム」や「ビーム」などと自動調整するようになった、というもののもよう。


それが、2013年のN6で始まった自動環境音調整の初代「SCAN」のバージョンアップ版「SCAN2」として組み合わされる。

「SCAN」での10年近い学びや蓄積から考えられた「SCAN2」は、環境の雑音タイプを基にして自動的に適切な音量と指向性を強化したものになっているとのこと。

「ズーム」+「ビーム」の自動調整追加によって、マイクの自動前方指向性の精度が上がっているそうですが、それを手動に変えることもできる。

その場合、プログラム設定時に「SCAN2」 だけのマップにして「フォワードフォーカス」をオフにする。

そうすることで、これまで通り手動で「フォワードフォーカス」をオンオフできるのだそう。


N8装用者の感想も出始めました。

こちらで読めます。

『I got the N8 Yesterday: Here’s an Review. AMA!』

www.reddit.com/r/Cochlearimplants/comments/zot8cc/i_got_the_n8_yesterday_heres_an_review_ama/


N6からN8に更新した方で、早速に発信してくれています。

更新にはとても満足しているそうですが、新「フォワードフォーカス」についてはちょっとイラつくそうで、オージオロジストに会っては手動に切り替えてもらうと述べています。

どこがどうなので、といったもう少し詳しい内容があればよいのですが、何しろSNSなので発信が短文調で。

それでも、こうして負の感触もあえて知らせてくれることは、これからの方には勉強になる、ありがたいことですよね。


毎日静かな環境で過ごされている方には、必要な時にだけオンにする手動の方が向いているということかもしれません。

バタバタ忙しい時や状況が急展開する時が多い方では、雑音状況下でフォワードフォーカスをオンにする、静かになるとオフにするといったを忘れてしまうこともあるでしょうから、「SCAN2」も「フォワードフォーカス」も自動にしておいてもらうと助かるかもしれませんが。

そういったことではなく、マイクのフォワードフォーカス絞りの切り替えの際に違和感やミュート感でも入るのでしょうか?

「Scan」の初代時に、シーン切り替え時にそういった感想を書かれていた方がいましたし、別社のバイオニクス社ナイ―ダでも時々ミュート感が入る聞こえになることがありましたし。。。

日本のスタッフの方に尋ねたところ環境音にマイクが対応する変化では?と言われたことがあります、両社とも今はもう解消しているようですが。


どんな感想も参考にはなると思いますが、同じ事象でも個人それぞれで感触は違って当たり前。

装用者が増え始めたら、又色々な感想が出てくると思います。

上記のようなことは調整するSTさんから詳しい説明を受けてくださいね。

自分のマップは状況によってどう変化するものか予め分かっておくことは心理的にも助かることではないかと思いますので。


N8はN7と形状以外あまり違わないように見えて、実は大きな違いがあります。

前回の掲載で、「N8についてどのようなものか感覚的にイメージ出来たり説明できる人は、同じコクレア社の最近の機種を使っている人ではないでしょうか?」と記しましたが、訂正です。

本来の補聴機器の王道ではないのですが、それを補助するようなオプション的な通信部門で大きな変化がつけられています。

最新の通信分野に詳しい人でない限り、イメージ出来たり説明できるのは難しいのではないでしょうか。


新しいシェア的ブロードキャスト、公共ブロードキャスト「AURACAST」。

その基となるBluetooth LC3 audio、N8はこれが実装された人工内耳ということになりそうです。

これがどのように社会生活で活用されていくのか、それは人工内耳装用者だけではなく、スマホを活用するようになった現代人を含め社会全体で動いていかなければならないもののようです。


私も知って勉強中なのですが、これが生かされるには送受信機が対応しなければならず、又、学校や病院、役所や娯楽場などで活用するにも社会自体がそれに対応した通信形態を構築していかなければならないもよう。

普及には数年ぐらいを見ておかなければならないようですが、そういう方面での動きがイヤホン類に少しずつですが見られ始めているようです。


「AURACAST」はBluetooth LC3 audioから派生してライセンス化しています。

バージョンは、Bluetooth 5.2は必要な模様です。

普及のために、Bluetooth社がライセンスに融通をきかせたといういきさつもあり、例えば、Apple社でのiPhone14シリーズからはBluetooth5.3のバージョンが実装されていて、送信機としての役割を果たす条件を満たしている模様(?)です。

(おあしす注:  コーデックが異なるようで、Auracast対応するかどうかは未確認です。失礼しました。)

Androidスマホに良く使われているクアルコム社も、aptX losslessというコーデックをこのBluetoothに対応させる模様です。

最近バイオニクス社が属するSONOVAグループに統合された大手音響メーカーのゼンハイザーも、クアルコム社aptX losslessで高音質デバイスを制作しているとのこと。

こうして少しずつ進んでいくのでしょう。


コーデックについて詳しくまとめられたサイトがありますので、こちらを読んでみて下さい。

『「コーデック」って何? ワイヤレスイヤホン選びで知っておきたい基礎知識』

www.goodspress.jp/howto/502404/


国内ではソニー社もLE audio対応を。。。下記はネットで読んだインタビュー記事からの抜粋。

(本文には LE sudio対応とあるので、その派生のLC3 audio対応とは少し違う対応になる?のかもしれませんが。。。)

サイト元はこちらこちら

『次世代Bluetooth「LE Audio」で何が変わる? ソニーキーマンに聞いた』

https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/1414684.html


Bluetooth LC3 audioは特に聴覚機器の為に開発に力を入れていたのだとか。

通信業界だけではなく、全ての人工内耳カンパニー、補聴器カンパニーにもいえることですが、開発者たちは実に広い、そして長い展望を抱いて、将来の自機の開発に当たっているのだなぁ、と思わされています。


次世代の無線通信「AERACAST」については、私もまだ詳細が良く分かっていないところがあり、内容にミス記載がありましたらご容赦ください。

いつか市販の対応プレイヤー、対応イヤホン・ヘッドホンで聴くことができるのならどのようなものなのか使ってみたいものだと思います。


Auracast「AURACAST」についての公式サイトは下記のとおり。

www.bluetooth.com/ja-jp/auracast/


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